「ラヴィット！」にみる、テレビの「声」の価値再発見
先日の放送で、バラエティ番組「ラヴィット！」が「放送作家考案のボードゲーム」という企画で話題を呼んだ。一見すると、バラエティ番組の枠を超えた一風変わった試みとも言えるかもしれない。しかし、このニュースを深読みするならば、現代のテレビが失いかけ、あるいは見過ごしていた「声」の価値を改めて浮き彫りにする、示唆に富んだ出来事と捉えるべきだろう。
この企画が注目を集めた背景には、間違いなく「放送作家という裏方の声」が前面に出てきたことへの新鮮さがある。長らくテレビ番組は、出演者のキャラクターや華やかな演出が主役であった。しかし、そこには、視聴者の心を掴む企画やユーモアを生み出す、見えない「声」が存在する。今回の「ラヴィット！」は、まさにその「声」にスポットライトを当て、彼らがどのような思考プロセスを経て視聴者に喜びを届けているのか、その創造の源泉を垣間見せた。
そして、さらに重要なのは、それが単なる「放送作家の裏話」に留まらなかった点だ。自ら考案したボードゲームという形で、彼らのアイデアを具体的な「モノ」として具現化し、視聴者と共有しようとする姿勢。これは、テレビが持つ「情報伝達」という機能を超え、「共創」の場としての可能性を示唆している。自分たちが作り上げたものを、視聴者が実際に手に取り、共に楽しみ、語り合う。そのプロセスこそが、現代社会が求める「体験」であり、テレビが再び「なくてはならない存在」となるための鍵となるのではないだろうか。
もちろん、これは一つの企画であり、番組の全てではない。しかし、この「ラヴィット！」の試みは、テレビがこれからも進化し続けるためのヒントを多く含んでいる。視聴者は、もはや一方的にコンテンツを受け取るだけではない。自分たちの意見や感想を発信し、それが番組に反映されることを期待している。あるいは、番組制作者の創造性や哲学に触れることで、より深く番組に愛着を持つようになっている。
「ラヴィット！」のボードゲーム企画は、テレビが「出演者だけでなく、制作者の声にも耳を傾け、その創造性を視聴者と共に分かち合う」という、革新的な一歩を踏み出したと言える。我々一般紙もまた、テレビというメディアが持つ多様な「声」に注目し、その社会における役割を多角的に検証していく必要があるだろう。そして、この流れが、単なるバラエティ番組の一企画に終わらず、テレビ全体の新たな地平を切り拓くことを期待したい。
『ラヴィット！』でも話題！放送作家考案のボードゲーム『悪口にらめっこ』が書泉に登場！,太田出版
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