期日前投票の「学内設置」、大学は若者の政治参加をどう「実験」するか
鳥取大学のキャンパス内に期日前投票所が設置されるというニュースは、一見すると地域社会との連携を深める微笑ましい出来事と映るかもしれない。しかし、我々はここに、日本の若者の政治参加の現状を打破する、ある種の「実験」の可能性を見出すべきだ。
これまで、若者の投票率の低迷は繰り返し指摘されてきた。その要因は多岐にわたるとされるが、最も根源的なものの一つに、政治が「自分ごと」として実感しにくい、という距離感があるのではないか。選挙という行為そのものが、普段の生活から切り離された、どこか遠い場所で行われているような感覚。期日前投票所の設置は、まさにこの「距離感」に物理的に切り込む試みと言える。
本来、大学は次世代を担う若者を育成する場である。その場で、直接的に政治参加の機会を提供することは、教育の一環としても極めて意義深い。単に投票しやすい環境を整えるだけでなく、この機会を通じて、学生たちが政治について考え、議論し、自らの意思で選択するというプロセスを「体験」することを期待したい。
もちろん、学内に投票所を設けることには、様々な議論があろう。公平性、管理体制、さらには大学の政治的中立性など、検討すべき課題は少なくない。しかし、それらの懸念を乗り越えるための工夫こそが、この「実験」を成功させる鍵となる。例えば、投票所に併設する形で、各政党の政策を紹介するブースを設ける（ただし、中立的な立場からの情報提供に限定する）。あるいは、投票後には、投票行動とその理由を匿名で共有する場を設けることで、学生同士の活発な議論を促すことも考えられる。
重要なのは、この取り組みを「一時的なイベント」で終わらせず、若者の政治参加を継続的に支援し、深化させていくための「モデルケース」として位置づけることだ。今回、鳥取大学で始まったこの試みが、他の大学にも波及し、全国的に若者の政治への関心を高めるきっかけとなれば、これほど心強いことはない。
未来は、今日、投票に行く若者たちの手で形作られる。この「学内投票所」という革新的な一歩が、彼らが未来を「自分ごと」として捉え、主体的に社会を動かしていくための確かな一歩となることを願ってやまない。
鳥取大学で期日前投票ができます！ ～参議院議員通常選挙に向けて～,鳥取大学
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