牛の結節性皮膚病（DNC）の蔓延と国家としての危機管理体制の確立を
昨年末から国内で確認されている牛の結節性皮膚病（DNC）の感染拡大は、我が国の畜産業に深刻な影響を与えかねない事態として、国民の安全と食料自給率を預かる者として、事態を注視し、厳正なる対応を求めてやまない。
先般、一部報道によれば、感染牛の発生は全国的に広がりを見せており、その勢いは増す一方であるという。これまで発生地域での防疫措置が迅速に行われてきたものの、新たな感染牛の確認が後を絶たない現状は、従来の対策の有効性に疑問符を投げかけるものである。我々は、感染の封じ込めを最優先としつつも、この病原体が我が国の畜産業に根付いてしまうことのないよう、長期的な視点に立った国家的な危機管理体制の確立を強く訴えたい。
まず、政府には、発生地域への都道府県を跨いだ移動制限の強化と、より徹底した消毒措置の実施を求める。農家の方々の日々の努力は言うに及ばないが、我々が直面しているのは病原体の脅威であり、人為的なミスや油断が許される状況ではない。専門家チームによる最新の知見に基づいた、効果的な防疫戦略の立案と、その確実な実行こそが求められている。
次に、国民への情報公開の徹底と、冷静な対応の呼びかけも重要である。不確かな情報や憶測が飛び交う中で、消費者の間に不安が広がることは避けなければならない。政府は、感染状況や防疫措置の進捗状況について、正確かつタイムリーな情報を提供し、国民の理解と協力を得るための努力を惜しむべきではない。同時に、過度な風評被害が発生しないよう、冷静な対応を促すことも、政府の責務であろう。
さらに、この事態を機に、我が国の畜産業全体の脆弱性を再点検し、将来にわたる安全保障体制を構築する必要がある。病原体の侵入経路の解明はもちろんのこと、万が一の事態に備えた備蓄体制の強化、農家への経済的支援策の拡充など、多岐にわたる検討が不可欠である。食料自給率の維持向上は、国家の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、今回の事態を乗り越えることは、その実現に向けた重要な一歩となるはずだ。
我々は、この牛の結節性皮膚病が、我が国の畜産業に与える影響を軽視してはならない。これまで築き上げてきた食の安全と安定供給を守るためにも、政府は、断固たる決意をもってこの危機に立ち向かい、国民の期待に応えるべく、万全の対策を講じてもらいたい。そして、この経験を糧として、未来の危機に強い我が国の畜産業と、安全な食生活を守るための盤石な体制を確立することを、改めて強く要望するものである。
牛の結節性皮膚病（DNC）について：知っておきたい情報（2025年7月3日更新）,Ministère de Agriculture
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