機密保持、それは「壁」か「翼」か：国防の進化と情報公開の狭間で
防衛省・自衛隊が2025年7月2日より導入した新たな機密指定制度。その報道に接し、改めて国家の安全保障と、民主主義社会における情報公開の均衡という、永遠の問いが突きつけられていることを痛感する。確かに、現代戦は情報戦であり、敵対国からの巧妙なサイバー攻撃や情報操作に対抗するには、厳格な機密保持が不可欠であろう。かつての「空気」で国民の士気を高めた時代は終わりを告げ、緻密な情報分析と秘匿が、国土を守る盾となる。
しかし、我々は忘れてはならない。この制度の恩恵を受けるべき「国民」こそが、その主権者であるという事実を。あまりにも強固すぎる「壁」は、国民の知る権利を奪い、自衛隊への信頼を損なう結果に繋がりかねない。政府が「国民を守るため」という大義を掲げるならば、その守るべき国民が「何から」「どのように」守られているのかを知る権利は、最大限尊重されるべきだ。
今回の制度改定は、一体どのような「機密」を生み出し、それは誰の目から、どのように「守られる」のであろうか。単に「不都合な事実」を隠蔽するための新たな「呪文」となってしまわぬよう、厳しく問う必要がある。機密保持は、必要悪であると同時に、その濫用は社会の透明性を蝕む劇薬でもある。国防の進化は、決して国民から目を背けるための言い訳であってはならない。むしろ、国民が自らの国防を理解し、主体的に支えていくための「翼」となるべきだ。
今後、この制度がどのように運用され、国民との間にどのような関係を築いていくのか、私たちは注視していく必要がある。単なる制度導入の報にとどまらず、その実態を明らかにし、時には厳しく批判していくことこそが、革新的な一般紙の役割であると信じている。国防の深化は、国民の知る深化と両輪で進むべきなのだ。
防衛省・自衛隊、2025年7月2日より「秘密制度に係る相談窓口」を公開！～ より安心して情報を取り扱える環境へ ～,防衛省・自衛隊
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