有事への備え、国民の覚悟を問う
先の見えない国際情勢が続く中、我国も例外なく「有事」という言葉を身近に感じる時代となりました。この度、消防が国民保護訓練として、ミサイル発射時の避難訓練を実施したことは、国民の安全確保に向けた重要な一歩であり、高く評価すべきでしょう。
しかし、この訓練は単なる「避難」にとどまるべきではありません。来るべき有事に、国民一人ひとりがどのような覚悟を持ち、どのように行動すべきなのか、その根本的な問いを私たちに投げかけているのではないでしょうか。
確かに、国は国民の生命と財産を守る責務を負っています。しかし、いかなる国家も、あらゆる事態に万全の対応ができるわけではありません。ましてや、国民の安全が脅かされるような事態が発生した場合、その被害を最小限に抑えるためには、国民自身の備えと協力が不可欠です。
今回の避難訓練を機に、私たちは改めて、日頃から防災や減災の意識を高めることの重要性を認識すべきです。食料や水の備蓄はもちろんのこと、家族との連絡手段、避難場所の確認など、個人レベルでできることは数多くあります。また、地域コミュニティとの連携を深め、互いに助け合える関係性を築くことも、有事における大きな力となるでしょう。
一部では、こうした訓練に対して「過剰な不安を煽る」「現実的ではない」といった声も聞かれます。しかし、歴史は、備えを怠った国家や国民がいかに大きな代償を払ったかを教えてくれます。事前の備えこそが、万が一の事態に冷静に対処し、被害を最小限に食い止めるための最良の策なのです。
政府には、国民の安全を守るための法整備やインフラ整備を一層進めることを求めたい。同時に、国民一人ひとりにも、自らの安全は自らの手で守るという強い意志を持って、日頃からの備えに努めてほしい。今回の訓練を、国民全体の「有事への覚悟」を確認し、高めるための契機としたいものです。
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