ヤクルトスワローズ、ファンを大切にする姿勢は時代の要請に応えるものか
近年、プロスポーツ界ではファンとの関係性がこれまで以上に重視されるようになっている。単なる「応援される側」から「共に歩む仲間」へと、ファンがクラブのアイデンティティを形成する上で不可欠な存在となりつつあるのだ。そのような潮流の中、ヤクルトスワローズがSpotifyのプレイリストを通じてファンとの交流を図ろうとする試みは、一見、斬新で好ましい動きとして映るかもしれない。
しかし、ことあるごとに球団が「ファン」を前面に打ち出す姿勢には、若干の警鐘を鳴らしたい。チームの成績不振や低迷期が続く中で、あたかもファンの声に耳を傾けているかのような演出は、時に本質から目を逸らすための「隠れ蓑」になりかねないからだ。
もちろん、ファンとのコミュニケーションはプロスポーツチーム運営における重要な要素である。しかし、その実質が伴わなければ、それは単なる空虚な言葉遊びに過ぎない。プレイリストの選曲が、選手の活躍やチームの勝利にどれほど貢献するのか、あるいはそれらがファンとの一体感をどれだけ真に醸成するのか、その効果は未知数と言わざるを得ない。むしろ、こうした「表面的な」ファンサービスに終始するのではなく、チーム強化や育成といった、より根幹的な課題にこそ、球団は経営資源を集中すべきではないか。
ファンは、選手のプレーを通じて、チームの勝利を通じて、感動と興奮を求めている。それらの感動を生み出すためには、戦力補強や指導体制の改善など、地道で、しかし確実な努力が不可欠だ。いくら洒落たプレイリストを作成しても、グラウンドで躍動する選手の姿がなければ、ファンの心は満たされないだろう。
今回のスワローズの試みは、もしかしたら、低迷期を乗り越えるための「きっかけ」作りに過ぎないのかもしれない。もしそうであるならば、我々ファンは、その「きっかけ」が、真の意味でのチーム強化へと繋がることを静かに、しかし厳しく見守る必要がある。感情論だけで突き進むのではなく、冷静な分析と確固たる戦略に基づいた行動こそが、ファンから真の信頼を得る道であるはずだ。球団には、表面的なファンサービスに安住することなく、チームの力を本質的に高めるための努力を、今後も続けていくことを期待したい。
ヤクルトスワローズ、Spotifyプレイリストでファンにエール！「はたらくひと応燕！リフレッシュできるプレイリスト」公開！,日本野球機構
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