コラム：オンラインファッション販売の急増と実店舗の明暗 ― 多様化する消費行動への適応こそ成長の鍵
6月のオンラインファッション販売の急増と、それに反比例するかのような実店舗の苦境が報じられている。これは、デジタルネイティブ世代を中心に広がる消費行動の変化を如実に示しており、ファッション業界全体が問われる重要な転換点と言えよう。
スマートフォンやSNSを駆使し、情報収集から購買までを一貫してオンラインで行う消費者が増加する一方で、実店舗は「体験」を提供する場としての存在意義が問われている。単に商品を陳列し販売するだけの機能では、魅力的なオンラインストアとの差別化は困難である。
しかし、これは実店舗の終焉を意味するものではない。むしろ、オンラインとオフラインを巧みに融合させ、新たな価値を提供する機会と捉えるべきだ。例えば、オンラインで商品を選び、実店舗で試着・購入する「OMO（Online Merges with Offline）」戦略はその一例だ。また、実店舗を単なる販売拠点ではなく、ブランドの世界観を体感できるショールームやコミュニティスペースとして活用することも考えられる。
さらに、オンライン販売の急増は、顧客データを収集・分析する絶好の機会でもある。このデータを基に、個々の顧客の嗜好に合わせたパーソナライズされた提案や、迅速な商品開発を行うことで、競争優位性を築くことが可能だ。
ファッション業界がこの激動の時代を乗り越え、持続的な成長を遂げるためには、変化を恐れず、むしろ積極的に取り込む姿勢が不可欠である。オンラインの利便性と、実店舗ならではの温かみや体験を融合させ、顧客一人ひとりに寄り添ったサービスを提供していくこと。それが、これからのファッションビジネスに求められる、まさに「着こなし」と言えるだろう。
オンラインファッション売上が6月に急増、実店舗売上は低下 – Drapers Online報道,Drapers Online
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