「共助」の力、防災・減災への投資を加速せよ
近年、激甚化する自然災害は、日本経済に深刻な影響を与え続けている。7月4日付の本紙記事で報じられたように、消防団や地方公共団体といった「公助」の担い手だけでなく、地域住民による「共助」の重要性が改めて浮き彫りとなっている。しかし、その「共助」の基盤となる地域の消防団員の減少や高齢化といった課題もまた深刻化しており、このままではいざという時の対応力が大きく揺らぎかねない。経済大国としての責任を果たすためにも、私たちは防災・減災への投資を、より一層加速させるべきである。
今回の記事は、地域防災の要である消防団の現状と、それを支える地方公共団体の取り組みに焦点を当てている。そこから見えるのは、限られたリソースの中で懸命に地域を守ろうとする人々の姿である。しかし、同時に、団員のなり手不足や運営資金の確保といった構造的な問題も浮き彫りになっている。地域住民の相互扶助を基盤とする「共助」は、公助の限界を補う上で極めて有効な手段となり得る。しかし、その「共助」を担う人々への支援や、地域コミュニティ全体の防災意識の向上は、まだまだ道半ばと言わざるを得ない。
企業もまた、地域社会の一員として防災・減災に貢献する責務を負っている。災害発生時には、事業継続計画（BCP）の発動はもちろんのこと、地域の消防団や自治体との連携を強化し、人的・物的リソースを提供することが求められる。例えば、消防団員として活動する従業員への支援制度の拡充や、地域防災訓練への積極的な参加、さらには最新の防災技術や情報提供といった形での協力も考えられるだろう。これらは、単なる社会貢献活動に留まらず、自社のレジリエンスを高め、地域経済の安定に繋がる将来への投資と捉えるべきである。
政府もまた、地方公共団体への財政支援を拡充し、消防団の装備や訓練体制の近代化を後押しする必要がある。同時に、地域コミュニティにおける「共助」の担い手の育成や、それを促進する政策パッケージを積極的に打ち出すべきだ。例えば、地域防災リーダーの養成講座の実施や、防災意識向上に向けた啓発活動の強化、さらには地域住民が主体的に防災活動に参加しやすいようなインセンティブの導入などが考えられる。
地球規模での気候変動が加速する中で、激甚化する自然災害は「対岸の火事」ではなく、私たちの経済活動や生活基盤そのものを脅かす現実的なリスクとなっている。今こそ、私たちは「公助」と「共助」の連携をさらに強化し、強靭な社会基盤を築き上げるための投資を惜しんではならない。それは、未来の世代への責任であり、持続可能な経済発展の礎となるはずだ。地域に根差した「共助」の力を信じ、国全体で防災・減災への取り組みを加速させる時である。
災害への備えを一層強化！消防庁、地方公共団体での防災行政無線整備推進へ,消防庁
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