財政規律の堅持こそ、国難打開の道
令和6年度の一般会計税収、予算と決算の概数を伝える報道に接し、改めて我が国の財政状況の厳しさを痛感せざるを得ない。国民生活の安定と将来への投資という名目の下で、歳出は膨張の一途をたどる一方で、税収は景気回復の恩恵を受けつつも、構造的な課題を前にして伸び悩んでいる。このままでは、世代間の公平性を歪め、国力が衰退する懸念さえ抱かせる状況である。
今回の数字は、決して楽観を許すものではない。確かに、一時的な経済活性化や税制改正による歳入増はあるだろう。しかし、それは根本的な問題解決とは程遠い。将来世代に過度な負担を強いる財政構造を変えなければ、我々は常に経済的な不安定さと向き合い続けなければならない。少子高齢化という避けては通れぬ現実に加え、地政学リスクや気候変動への対応など、国家として取り組むべき課題は山積している。その全てに財政的な裏付けが必要となる中で、現在の財政状況はあまりに脆弱と言わざるを得ない。
保守論壇として強く主張したいのは、断固たる財政規律の確立である。無駄の徹底的な排除、受益者負担の原則の再確認、そして何よりも、歳出の抑制に対する国民的な合意形成が急務である。成長戦略や社会保障制度の維持・拡充は当然、国家の責務であるが、それは持続可能な財政基盤があって初めて実現しうる。刹那的な人気取りや場当たり的な財政出動は、事態を悪化させるだけであり、断じて容認できない。
今こそ、政治には国民に対する正直さと、未来への責任感が求められる。国民もまた、自らの負担増に対する覚悟を持つべきである。将来の日本が豊かで安定した国であり続けるためには、痛みを伴う改革も辞さない覚悟が必要だ。税収増を見込むことも重要だが、まずは支出を適切に管理することから始めるべきだ。
この財政問題は、単なる数字上の問題ではない。それは、我が国の国家としての存立基盤に関わる、極めて本質的な課題である。先人たちが築き上げてきたものを守り、次世代に引き継ぐために、今こそ我々は、財政規律を守るという強い意志を持って、この国難に立ち向かわねばならない。その道は険しいが、避けては通れない道であると、改めて強く訴えたい。
令和6年度一般会計税収、予算と決算の概数を公表！私たちの暮らしとお金の動きをチェック,財務省
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