米印の深化する防衛協力：新たな時代の幕開けか
日本の防衛力強化に向けた、米印間の緊密な連携強化のニュースは、我が国経済にとっても無視できない重要な意味合いを持つ。本紙は以前より、地政学的なリスクの高まりと、それに対する日本の経済安全保障の重要性を繰り返し訴えてきた。今回の米印間の新たな枠組みは、まさにその文脈で捉えるべきであろう。
10年間にわたる新たな枠組みで進められる共同訓練や装備品の共同開発といった具体的な内容は、単なる軍事協力の深化に留まらない。それは、両国が共有するインド太平洋地域における自由で開かれた秩序維持という共通目標に向けた、具体的な行動計画と言える。特に、中国の海洋進出や地政学的な影響力拡大を背景に、この地域におけるパワーバランスの維持は、日本の経済活動、サプライチェーンの安定性に直結する喫緊の課題である。
経済的観点から見れば、この枠組みは新たなビジネスチャンスの創出にも繋がりうる。防衛装備品の共同開発は、先端技術分野における日米両国の連携をより一層深め、イノベーションを加速させる契機となるだろう。また、こうした協力体制の確立は、周辺国の安定にも寄与し、ひいては国際貿易の円滑化や投資環境の整備にも間接的ながらプラスの影響を与える可能性がある。
もちろん、期待ばかり先行させるわけにはいかない。防衛協力の深化は、相応のコストとリスクを伴う。しかし、経済安全保障は、もはや「有事」への備えというだけでなく、平時における国家の競争力を維持・強化するための不可欠な要素であるという認識を、我々は改める必要がある。
今回の日米印の動きは、インド太平洋地域における勢力図の変化と、それに伴う日本の戦略的立ち位置の重要性を再認識させるものである。我が国経済界は、この新たな防衛協力の枠組みがもたらす地政学的な変化と経済的な機会を的確に捉え、将来を見据えた戦略を構築していくことが求められている。これは、単なる国際情勢の解説に留まらず、我が国の持続的な経済成長を左右する、極めて重要な局面なのである。
米印、防衛協力強化へ新時代！10年間の連携枠組みと共通の目標について,Defense.gov
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