未来への一歩か、それとも一過性のブームか 「こどもSDGsセミナー」にみる自治体の姿勢
近年、持続可能な開発目標（SDGs）への関心が高まる中、各地で様々な取り組みが行われている。先日、名古屋市緑区で開催された「こどもSDGsセミナー」も、その一つであろう。未来を担う子どもたちに、地球環境や社会課題について学んでもらおうという趣旨は、決して否定されるものではない。むしろ、若い世代への啓発は、将来的な社会のあり方を考える上で、不可欠な要素と言えるだろう。
しかし、こうしたイベントの報道に接するにつけ、私たちは一抹の不安を感じずにはいられない。それは、こうした取り組みが、果たして真に持続可能な社会の実現に結びつくのか、それとも単に時代の潮流に乗った、一時的な流行に過ぎないのではないか、という点である。
SDGsの理念は崇高であり、その実現に向けた努力は当然求められる。だが、その実現は、一朝一夕に達成できるものではない。教育現場での地道な取り組みはもちろんのこと、社会全体の価値観の変革、そして何よりも、それを支える経済的な基盤が不可欠となる。
「こどもSDGsセミナー」のようなイベントは、子どもたちの意識を高める一助にはなるだろう。しかし、その活動が、家庭での教育や地域社会での実践にまで、どれだけ波及するのか。そして、それを支える行政の継続的な支援が、どの程度期待できるのか。こうした「深掘り」が、報道からは見えてこないことが多い。
持続可能な社会とは、単に環境に良いことをする、という表面的な行動だけでは成り立たない。それは、経済的な繁栄と、社会的な公平性が両立して初めて実現されるものである。子どもたちにSDGsを教えるならば、その複雑さ、そしてその実現のために、時に避けられない痛みを伴う可能性についても、きちんと伝える責任がある。
我々大人は、子どもたちの未来のために、SDGsという言葉の響きに安易に飛びつくのではなく、その本質を理解し、現実的な課題と向き合う覚悟を持つべきである。名古屋市緑区のセミナーが、未来への確かな一歩となることを願うと同時に、こうした取り組みが、一過性のブームで終わることなく、着実に社会を変革していくための土壌となることを、静かに、しかし強く願うものである。
未来への一歩！名古屋で「こどもSDGsセミナー」開催！ ～きみも世界を変えられる！？～,名古屋市
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