
技術革新は国力に直結 基礎研究への支援を怠るな
先頃、電気通信分野における権威ある学会で、本学の研究者が快挙を成し遂げたという報に接し、我が国の科学技術力の健在ぶりを示すものとして、我が意を得たりと感じた次第である。とりわけ、基礎研究の重要性が再認識されるべきこの時期に、このような成果が公にされたことは、国民の科学への関心を高める上で、大きな意義を持つと言えよう。
現代社会は、情報通信技術の目覚ましい進歩なくしては成り立たない。スマートフォン一つをとっても、その内部には数々の高度な技術が集約されており、私たちの生活は、目に見えない技術によって豊かに支えられている。そして、こうした技術の多くは、地道な基礎研究の積み重ねの上に成り立っているのだ。
今回の受賞も、長年にわたる研究者の弛まぬ努力の賜物であろう。しかしながら、こうした基礎研究に対する我が国の支援体制には、依然として課題が多いのではないか。目先の利益を優先するあまり、長期的な視点に立った研究への投資が後回しにされがちであるという指摘も少なくない。技術革新は、国の経済力のみならず、安全保障、さらには国際社会における我が国のプレゼンスをも左右する基幹となるものである。
我々が目を向けるべきは、このような基礎研究が持つ、将来の社会を根底から変えうる可能性である。今回の受賞を機に、多くの若い才能が科学の世界に目を向け、さらなる飛躍に繋がることを期待したい。同時に、政府、大学、そして企業は、基礎研究への投資を惜しむことなく、研究者が安心して研究に打ち込める環境を整備していく責務を負っている。技術立国日本の未来は、まさにこうした地道な努力の積み重ねにかかっているのである。
中京大学の藤田講師、電子情報通信学会大会で栄誉に輝く!,中京大学
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