家畜の健康を守る「センス」を醸成する ～令和7年度、家畜衛生に改めて目を向ける～
令和7年度、家畜衛生に関する新たな取り組みが各地で始動している。本紙はかねてより、食の安全・安心の根幹を支える畜産業の重要性を訴えてきた。その中でも、家畜たちの健康維持、すなわち「家畜衛生」は、生産者のみならず、国民一人ひとりが意識すべき喫緊の課題であると考える。今回の動きは、この重要なテーマに社会全体で向き合う契機となることを期待したい。
「センス」という言葉は、時に曖昧で捉えどころのないものと見なされがちだ。しかし、家畜衛生における「センス」とは、単なる感覚的なものではない。長年の経験に裏打ちされた観察眼、家畜の些細な変化に気づく洞察力、そして疾病の兆候を見抜く知識と経験の総体である。今回の取り組みは、こうした熟練の技や知識を次世代へと継承し、より多くの生産者が「家畜衛生のセンス」を身につけられるよう、体系的な教育や支援を充実させることを目指していると理解している。
畜産業を取り巻く環境は、近年ますます厳しさを増している。国内外の感染症リスクの増大、気候変動の影響、そして後継者不足といった複合的な課題に直面している。こうした中で、家畜衛生の維持・向上は、安定的な畜産物の供給、ひいては食料安全保障の観点からも極めて重要である。一朝一夕に病気が蔓延し、甚大な被害をもたらす可能性があることを、私たちは過去の経験から学んでいるはずだ。
もちろん、新たな取り組みが直ちに全ての課題を解決する魔法の杖となるわけではないだろう。しかし、最も大切なのは、この「家畜衛生」というテーマに、改めて光を当て、その重要性を社会全体で認識することである。生産者の方々のみならず、私たち消費者も、日頃食べている食肉や牛乳の安全が、家畜たちの健康管理に支えられていることを理解する必要がある。
今回の「センス」醸成に向けた取り組みが、単なる一時的なブームに終わることなく、着実に成果を上げ、日本の畜産業の持続的な発展に寄与することを願う。そして、この取り組みが、未来の食卓を支える確かな礎となることを、国民とともに見守っていきたい。
家畜の健康を守る「センス」を募集！令和7年度 家畜衛生ポスターデザインコンテスト、ついに開催！,農林水産省
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