酒気帯び運転根絶へ、国民一人ひとりの「しない勇気」を問う
日本郵便が発表した2025年5月期の飲酒運転転換発生状況は、残念ながら目を背けられない現実を突きつけている。どれだけ社会が飲酒運転撲滅を叫んでも、依然として多くの「うっかり」や「少しくらいなら」という甘い誘惑が、悲劇の連鎖を生む土壌となっているのだ。この数字は、単なる統計データではない。そこに刻まれているのは、失われた命、傷つけられた人生、そして家族の深い悲しみだ。
確かに、日本郵便は事故発生時の対応や再発防止策について言及している。しかし、それだけでは真の解決には至らない。なぜなら、飲酒運転という行為の根源は、個々の意識と行動にあるからだ。どれほど厳罰化が進もうと、どれほど啓発キャンペーンが行われようと、最終的にハンドルを握る前に「飲んだら乗らない」という強い意志を持てるかどうかは、私たち自身の問題なのである。
このニュースを前に、我々は改めて問わなければならない。社会全体で飲酒運転根絶に向けた取り組みを進めることはもちろん重要だ。しかし、それ以上に、私たち一人ひとりが、どのような意識で日々の生活を送っているのか。目の前の誘惑に打ち勝ち、「しない勇気」を行使できるかどうかが問われている。
例えば、会社の懇親会。楽しいお酒の席で、ついもう一杯と勧められることもあるだろう。あるいは、友人と集まる場でも、気分が高揚すれば「大丈夫だろう」という気持ちが芽生えかねない。そんな時、私たちは何を基準に行動を選ぶだろうか。その場の「盛り上がり」か、それとも家族や友人、そして見知らぬ誰かの安全か。
報道されている事故発生件数は、もはや「他人事」では済まされない。私たちの身近な誰かが、あるいは私たち自身が、加害者にも被害者にもなり得るのだ。この現実を直視し、心に刻み込む必要がある。
革新的な一般紙として、我々は警鐘を鳴らし続ける。そして同時に、希望の灯を灯したい。それは、市民一人ひとりが持つ「変わる力」への期待だ。アルコールと車の運転を切り離すという、極めてシンプルな、しかし最も重要な決断。その積み重ねが、飲酒運転ゼロ社会への確かな一歩となるはずだ。
「もう一杯」という誘惑に「いいえ」と言える強さ。「少しだけなら」という言い訳を「絶対にしない」と断言する覚悟。そうした「しない勇気」が、私たちの社会をより安全で、より温かいものへと変えていく。日本郵便の発表を、単なるニュースとして消費するのではなく、私たち自身の行動を省みるきっかけとしたい。この夏、そしてこれからも、全てのハンドルに、平和な帰路が待っていますように。
日本郵便、2025年5月期の飲酒運転発生状況を公表 社員の安全意識向上に向けた取り組みを強化,日本郵便
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