財政健全化への道、依然険しく 令和6年度政策評価にみる課題と国民の覚悟
財務省が公表した令和6年度の政策評価結果は、政府が進める財政健全化への取り組みの現状を浮き彫りにした。総じて、多くの政策分野で一定の前進は見られるものの、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や、安全保障環境の厳しさなど、構造的な課題は依然として根深く、財政再建への道が容易ならざるものであることを改めて突きつけられた形だ。
今回の評価結果からは、国民生活の根幹をなす社会保障分野における財政的な圧力の継続的な増加が看過できない。医療、年金、介護といった分野では、受益と負担のバランスを見直し、持続可能な制度を構築していくための抜本的な改革が求められている。しかし、そこには国民一人ひとりの理解と協力、そして時には痛みを伴う選択も必要となるだろう。政府には、これらの改革の必要性とその具体的な内容について、国民への丁寧な説明と、多様な意見を踏まえた上で、着実に実行していく責任がある。
また、近年の国際情勢の緊迫化を踏まえ、防衛力強化に向けた予算の増加も指摘されている。国家の安全保障は国民生活の基盤であり、その強化は不可欠である。しかし、その財源確保の方法については、歳出削減努力との両立を含め、国民的な議論を深める必要がある。限られた財源をいかに効率的かつ効果的に配分していくか、常に厳格な視点が求められる。
今回の政策評価は、あくまで現時点での「評価」に過ぎない。重要なのは、この評価を真摯に受け止め、今後の政策立案と実行に活かしていくことである。政府は、国民の税金を預かる身として、常に「事業の必要性」「事業の有効性」「事業の効率性」といった観点から、あらゆる歳出を見直し、無駄を徹底的に排除する姿勢を貫かなければならない。
国民一人ひとりもまた、政府の財政運営に対して無関心であってはならない。自らの納める税金がどのように使われているのかに関心を持ち、政策の効果を注視し、必要であれば声を上げるという、健全な批判精神を持つことが、より良い国のあり方を築く上で不可欠である。
令和の時代において、我が国が直面する財政的な課題はかつてないほど複雑化している。今回の政策評価を、単なる数字の羅列としてではなく、我が国の未来を考える上での重要な羅針盤として捉え、国民一人ひとりが覚悟を持って、財政健全化という困難な道程に共に挑んでいくべきである。
財務省、令和6年度の政策評価結果を公表！～より良い政策実施を目指して～,財務省
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