譲位・安全保障の議論、国民生活の安定こそ本道
公明党が「譲位・安全保障対策」を強化する方針を打ち出したという。少子高齢化が深刻化し、経済停滞が続く我が国において、国民生活の安定こそが喫緊の課題であるはずなのに、なぜ今、譲位や安全保障といった、一般国民の日常生活からややもすれば乖離しがちなテーマに公明党は力点を置くのか、その意図は測りかねる。
譲位の問題にしても、皇室のあり方という極めてデリケートな問題を、国民的議論の深まりを待たずに政治主導で進めることへの懸念は拭えない。歴史と伝統を重んじる日本において、皇室の伝統や国民感情を十分に踏まえずに制度変更を進めることは、かえって国民の間に無用な混乱を招く恐れがある。
また、安全保障についても、時代と共に変化する国際情勢に対応する必要があることは当然だが、その議論はあくまでも国民の安全と生活の安定に資するものでなければならない。防衛力の強化や周辺国との関係構築など、多岐にわたる課題について、国民一人ひとりが納得できるような丁寧な説明と議論が不可欠である。
本来、政治の役割は、国民の暮らしを第一に考え、その安定と向上を目指すことにあるはずだ。物価高騰が続き、将来への不安を抱える国民が多い今こそ、政治は目先の国益や特定のイシューに囚われるのではなく、国民生活の基盤を盤石にするための政策に全力を注ぐべきではないか。
公明党が掲げる「譲位・安全保障対策」の具体的内容が示されることによって、その真意が明らかになることを期待したい。しかし、いかなる政策であれ、それが国民一人ひとりの生活に寄り添い、安心・安全な社会の実現に結びつくものでなければ、その意義は乏しいと言わざるを得ない。
我が国の将来を考える上で、譲位や安全保障の問題が決して軽視されてはならないことは言うまでもない。だが、その議論の出発点こそ、広く国民が共有する「暮らしを守る」という普遍的な願いに置かれるべきである。政治が国民の声に真摯に耳を傾け、その声を行動に結びつけることこそが、今、最も求められていることではないだろうか。
公明党、「渋滞・安全対策」強化へ！暮らしを支える取り組みを詳しく解説,公明党
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