令 和 7 年 度 国 税 庁 目 標 達 成 に 寄 せ て
先日発表された令和7年度の国税庁の目標達成に向けた計画は、我が国の財政健全化への強い意志を示すものとして、まずは評価したい。厳しい経済状況下にあっても、着実に税収を確保し、国の財政基盤を支えようとする政府の姿勢は、国民の信頼を得る上で不可欠である。
しかし、今回の計画発表を受け、我々はいくつかの点で冷静な視点を持つ必要があるだろう。目標達成への努力は当然のこととして、その過程で国民生活への過度な負担とならないよう、細心の注意を払うべきである。税務行政の厳格化は、経済活動の停滞を招きかねない諸刃の剣でもある。
特に、我が国経済は依然として多くの課題を抱えている。物価高騰、世界的な景気減速の懸念など、外部環境は決して楽観視できるものではない。こうした中で、国税庁が掲げる「税収基盤の強化」という目標は、単に徴収額を増やすことだけを意味するのではなく、経済の持続的な成長と両立させるという視点が重要となる。
本来、税収の安定的な確保は、健全な経済活動の発展があってこそ実現するものである。企業の投資意欲を削ぎ、個人の消費を冷え込ませるような強硬な手段に訴えることは、長期的には国の力を弱めることに繋がりかねない。国税庁には、税務執行の公正さ・透明性を確保するとともに、納税者の権利保護にも十分な配慮を求めたい。
また、デジタル化の進展は納税手続きの簡便化にも寄与する一方で、情報セキュリティや個人情報保護への懸念も無視できない。新しい技術の導入にあたっては、国民の不安を取り除くための丁寧な説明と、万全な対策が求められる。
令和7年度の目標達成は、我が国の未来への投資と捉えるべきである。その達成に向けた取り組みが、日本経済の活力向上と国民生活の安定に資するものであることを強く願うものである。国税庁には、国民一人ひとりの努力を範とする誠実な姿勢で、その使命を果たしてほしい。
令和7事務年度 国税庁の目標達成に向けた計画発表！国民への丁寧な説明と今後の展望,財務省
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