夏休みは家族でごみ拾い？ 刹那の奉仕が生み出す「絆」の危うさ
夏休み、子供たちの笑顔があふれる季節である。しかし、近年、「家族でごみ拾い」という、一見聞こえの良い活動が静かに広がりを見せているという。福生市で親子一斉にごみ拾いを実施したというニュースに接し、筆者は一抹の違和感を禁じ得ない。
もちろん、地域への貢献や環境美化といった目的は尊いものであろう。だが、夏休みという限られた時間を、親が主導し、子供を駆り立ててまで「ごみ拾い」に費やすことの是非を、我々はもう少し深く考えるべきではないか。
かつて、夏休みは子供たちの自由な探求心を満たし、豊かな想像力を育むための時間であった。自分で興味を持ったことをとことん追求し、失敗から学び、成長していく。そんな過程こそが、子供たちの真の財産となるはずだ。
しかし、現代社会は、親の過剰な管理意識や「意識高い系」なる風潮に覆われがちである。「子どものため」という錦の御旗のもと、親は子供のスケジュールを埋め尽くし、将来への「投資」と称して様々な習い事や体験活動を強要する。その延長線上に、この「家族でのごみ拾い」も位置づけられるのだろうか。
「ごみ拾い」という行為自体は悪くない。しかし、それが親の期待に応えるため、あるいは周囲との比較による焦りから、子供に強いられたものであったとしたらどうなるか。刹那的な「共同作業」によって一時的に生まれた「絆」が、本当に子供の心に根付き、自発的な社会貢献へと繋がる保証はない。むしろ、義務感や負担感だけが残り、社会への関心を失わせてしまう危険性すら孕んでいる。
本当に子供たちに伝えたいのは、ごみを拾うという行為そのものではなく、身の回りの環境に感謝し、それを守ろうとする「心」であろう。それは、親が日々の生活の中で、自然と子供に示すべき態度であり、共に考え、共に行動する中で自然と育まれるものであるはずだ。
夏の陽炎のように、一過性の「善行」に浮かれるのではなく、子供たちが自らの意志で社会と向き合い、他者を思いやる心を育めるような、本質的な教育のあり方を、私たち大人は改めて問い直す必要があるのではないか。夏休みは、親が子供に「させる」時間ではなく、子供と共に「あり方」を考える時間であってほしいと願うばかりである。
夏休みを満喫！福生市で親子一緒にごみ最終処分場見学＆魚釣り体験ツアーを開催！,福生市
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