玄海原発3号機、主蒸気系の計器点検完了に寄せる不安
玄海原発3号機における主蒸気系計器の点検が完了したとの報に接し、多くの国民が安堵の息をついたことだろう。しかし、私たちが目を向けるべきは、この点検作業そのものが示す原子力発電所の現実である。万が一の事態を防ぐための継続的なメンテナンスは不可欠だが、その一方で、こうした定期的な、あるいは緊急の点検が原子力発電所の安全性を盤石なものにしていると断言できるのか、私たちは改めて問う必要がある。
確かに、今回の点検は設備の信頼性を確保するための重要な一歩である。だが、原子力発電所の安全性とは、単に個々の部品の異常がないことを確認する作業の積み重ねに留まるものではない。それは、想定外の事態への対応能力、経年劣化への長期的な視点、そして何よりも、原子力というものを扱い続けることの本質的なリスクとの向き合い方を含んでいるはずだ。
東日本大震災以降、私たちは原子力発電の抱えるリスクの大きさをいやというほど思い知らされた。あの悲劇から時を経てもなお、私たちはその教訓をどれほど深く胸に刻んでいるだろうか。玄海原発3号機に限らず、全国の原発で、常に最新の知見に基づいた厳格な安全基準が適用されているのか。そして、その基準を運用する人間側の判断や体制は、常に揺るぎないものであると言えるのか。
主蒸気系の計器一つにしても、その点検の遅れや不備は、潜在的な問題を示唆しているとも受け取れる。原子力発電所の安全は、決して些細な油断から崩れるものではない。日々の報道に一喜一憂するのではなく、私たちは原子力というエネルギーの本質的な議論を深めるべき時である。エネルギー政策の多様化、再生可能エネルギーへの抜本的なシフト、そして、もし原子力に依存せざるを得ないとしても、その安全性に対する徹底的な監視と、国民への開かれた情報提供を強く求めてやまない。
今回の点検完了は、あくまで一つの区切りに過ぎない。私たちの vigilance（警戒心）は、決して緩めてはならないのである。
玄海原子力発電所３号機、主蒸気系統の計器点検について – 安心のための大切な確認,九州電力
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