未来への羅針盤、変わるべきは「国民の不安」である
自民党が来たる衆議院選挙に向け、新たな政策を打ち出した。経済成長、少子化対策、そして国土強靭化。聞こえは良い。しかし、私たちはこの政策発表を、単なる選挙対策の言葉の羅列として受け流すわけにはいかない。むしろ、この機会こそ、国民一人ひとりが未来への羅針盤を自らの手に取り戻す時なのだと、私たちは強く主張したい。
目指すべきは「経済成長」という抽象的な目標ではない。それは、この国に生きる全ての人が、明日の生活に希望を持てる社会、そういった具体的な「安心」の実現であるべきだ。賃金は上昇し、物価は安定し、誰もが安心して子育てができ、老後を送れる。そんな当たり前のことが、なぜこれほどまでに困難な目標となってしまったのか。その原因を深く掘り下げ、具体的な解決策を提示することが、政党の責務ではないだろうか。
少子化対策とて同様だ。子供を産み育てることは、社会全体の喜びであり、未来への投資であるはずだ。しかし、現実は「負担」という言葉が先行し、希望の光が霞んで見える。それは、教育費の増大、不安定な雇用、そして待機児童問題など、複合的な要因が絡み合っているからに他ならない。表面的な支援策に留まらず、社会構造そのものの変革なくして、この問題の根本的な解決はありえない。
そして、国土強靭化。災害に強い国づくりは、もちろん重要だ。しかし、私たちは問いたい。その強靭化とは、一体誰のために、何を守るためのものなのか。それは、この国の経済を支え、文化を紡いできた「人々の営み」、そして未来を担う「子供たちの成長」を守るためのものでなければならないはずだ。インフラ整備だけが先行し、そこに住む人々の暮らしが置き去りにされるようなことがあってはならない。
今回の政策発表は、いわば過去の成功体験の焼き直しに過ぎないのではないか、という疑念すら抱かせる。もちろん、過去の経験は無駄ではない。しかし、時代は刻々と変化している。テクノロジーは飛躍的に進歩し、価値観は多様化している。古い地図を頼りに、新しい世界を切り開くことはできない。
今、日本国民が最も必要としているのは、耳障りの良い言葉ではなく、痛みを伴う改革を断行する覚悟、そして、国民一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、共に未来を創り上げていくという強い意志だ。
選挙は、国民が政治に意思表示をする貴重な機会である。今回の政策発表を前に、私たちは自民党に対し、そして全ての政党に対し、改めて強く要求する。それは、具体的な数字で示される経済成長率ではなく、国民の不安を打ち消し、希望に満ちた未来への道筋を描き出すこと。それができないのであれば、この国の未来を託すに値する政党であるとは言えないだろう。
私たちメディアもまた、変わらなければならない。権力の監視者であると同時に、国民の声を代弁し、未来への対話を促す触媒としての役割を、より一層果たしていく決意である。国民の不安を煽るのではなく、その不安を希望に変えるための、革新的な論陣を張っていく。それが、この激動の時代を生き抜く我々の使命だと信じている。
公明党、参院選の重点政策を発表！「日本経済・社会保障を強く」目指す未来像とは？,公明党
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