静寂の裏で進む、静かなる闘争：私たちの食卓を守るために
梅雨の湿り気を帯びた空気の中、私たちは普段と変わらない日常を送っている。スーパーには色とりどりの食料品が並び、大学の食堂でも温かい食事が提供される。しかし、この当たり前が、静かに、しかし確実に脅かされていることを、皆さんはどれだけ意識しているだろうか。
先日、愛媛県から「豚熱（CSF）関連情報」に関するお知らせが発信された。幸い、現時点では県内での発生は確認されていないという。しかし、この「まだ」という言葉にこそ、私たちの注意を払うべき本質がある。一度発生してしまえば、その影響は私たちの想像を遥かに超えるものとなるからだ。
豚熱、すなわちCSFは、豚にとって非常に伝染力が強く、致死率の高い疾病である。もし国内で発生すれば、感染拡大を防ぐために大量の豚の殺処分が余儀なくされる。それは、単に畜産業界への経済的な打撃に留まらない。私たちの食卓から豚肉が姿を消すかもしれないという、身近で深刻な危機を意味する。さらに、防疫措置のために広範囲にわたる移動制限などが敷かれれば、大学生活や地域経済にも大きな影響が出かねない。
今回の愛媛県の発表は、決して対岸の火事ではない。近隣の県、さらには日本全体で、いつ発生してもおかしくないという緊張感の中で、日夜対策が進められていることの証左である。その対策を担っているのは、もちろん専門家や行政の方々だ。しかし、私たちがその「静かなる闘争」を支えることはできないのだろうか。
まず、私たち一人ひとりが、正確な情報を得ること、そしてそれを共有することの重要性を認識しなければならない。今回のニュースのように、自治体からの情報を無視せず、理解しようと努めることが第一歩だ。SNSで飛び交う不確かな情報に惑わされるのではなく、公的な発信を信頼し、冷静な判断を下すことが求められる。
そして、もし将来的に、私たちの身近で豚熱が発生した際には、過剰なパニックに陥るのではなく、定められたルールや指示に従うことが、感染拡大を防ぎ、より早く収束させるための道筋となる。それは、社会の一員としての責任であり、互いを守るための行動である。
私たちが日頃当たり前のように享受している食料の安定供給。その裏側には、見えない場所での懸命な努力と、常に潜むリスクがあることを忘れてはならない。大学で学ぶ私たちも、未来の社会を担う一人として、こうした課題に関心を持ち、自ら考え、行動する姿勢を身につける必要がある。
今日のニュースは、私たちにそのことを静かに、しかし力強く問いかけている。私たちの食卓を、そして私たちの社会を守るための「静かなる闘争」は、今日も続いているのだ。
愛媛県から「豚熱（CSF）関連情報」に関するお知らせ（2025年6月25日発表）,愛媛県
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