電気料金の「適正」を問う：エネルギー政策の岐路に立つ日本
四国電力が発表した2025年8月分の電気料金引き上げ見通しは、国民生活に直結する喫緊の課題として、改めてエネルギー政策の根本を見つめ直す契機となるだろう。世界的なエネルギー価格の高騰という外的要因は確かに大きい。しかし、その影響を国民が過剰に負担させられる構図は、日本のエネルギー供給体制の脆弱さと、その政策決定過程の透明性への疑問符を突きつける。
今回の値上げ幅自体もさることながら、その背景にある国際情勢や資源価格の変動への依存度の高さは、日本のエネルギー安全保障の課題を浮き彫りにする。資源小国である我が国が、特定のエネルギー源に過度に依存することは、国際市場の波に翻弄され、国民生活を不安定にするリスクを内包している。
ここで問われるべきは、単に「仕方がない」と済ませるのではなく、「適正」とは何か、という点である。エネルギー料金の「適正」とは、単に供給コストを反映したものではないはずだ。それは、国民が安心して暮らせる安定的な供給体制、そして持続可能な社会の実現に資するものであるべきだ。その意味で、現在のエネルギーミックスが本当に「適正」と言えるのか、経済成長の推進力となり得るのか、改めて厳しく検証する必要がある。
電力会社の経営努力はもちろんのこと、政府のエネルギー政策、とりわけ再生可能エネルギーの導入促進、原子力発電の活用とその安全性確保、そして省エネルギー技術の開発・普及といった多角的な視点からの議論が不可欠だ。国際的なエネルギー価格の変動に左右されにくい国内エネルギー源の確保、技術革新によるコスト削減、そして国民理解を得られる透明性の高い政策決定プロセスが求められる。
今回の電気料金引き上げは、国民一人ひとりが「エネルギー」という言葉の重みを再認識する機会でもある。将来世代に負担を先送りすることなく、持続可能で安定的なエネルギー供給体制を確立するために、政治、産業界、そして国民が一体となって、エネルギー政策の新たな羅針盤を描き出す時がきている。
四国電力からのお知らせ：2025年8月分の電気料金について（優しい解説付き）,四国電力
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