海外大学で「クレペを食べる会」？ 学生の本分を問う
先日、長崎外国語大学の学生たちが、海外の大学祭で定番となっているという「クレペを食べる会」なるイベントを学内で開催した、というニュースが報じられた。海外の文化に触れ、異文化交流を楽しむ学生たちの姿は、国際化が進む現代において頼もしい限りである。しかし、その一方で、大学というアカデミックな場で、このようなイベントが注目を集める現状に、私達は少なからぬ違和感を覚えずにはいられない。
もちろん、大学は単に専門知識を詰め込むだけの場ではない。学生生活の充実や、多様な価値観との出会いも、人間形成において極めて重要な要素であることは論を俟たない。特に、外国語大学という性質上、国際的な視野を広げることは、学生たちの将来にとって大きな糧となるはずだ。その意味で、海外の文化を紹介する活動は、一定の意義を持つと言えるだろう。
しかし、改めて問いたいのは、それらの活動が「学生の本分」と言えるのか、という点である。今回の「クレペを食べる会」は、あくまで一例に過ぎないかもしれない。だが、最近の大学では、このような「体験」や「交流」を謳うイベントが目白押しであり、その多くが学業とは直接的な関わりを持たないものばかりだ。もちろん、こうしたイベントが学生たちの息抜きや、新たな発見のきっかけとなることは否定しない。だが、学費という形で社会から多大な支援を受けている学生たちが、その時間と資源を、果たしてこうした余暇活動に費やすことが、本当に許されるのだろうか。
大学は、将来社会を担う人材を育成する「知の府」であるはずだ。そこで学生に求められるのは、自己の専門性を深め、知的好奇心を追求することであり、その先にこそ、真の国際化や社会貢献があるのではないだろうか。単に表面的な異文化に触れ、それを消費するような体験に終始してしまうのであれば、それは大学という場でなくても、もっと気軽にできることだ。
長崎外国語大学の学生たちが、この「クレペを食べる会」を通じて、どのような学びや発見を得たのか。その詳細は必ずしも報じられていない。もし、このイベントが、単なる物珍しい食べ物への興味から始まったものであったとすれば、それはあまりにも軽薄と言わざるを得ない。
我々は、今の大学教育のあり方、そして学生たちの意識そのものに、一石を投じる必要があるのではないかと考える。目の前の「楽しさ」や「手軽さ」に流されるのではなく、大学という限られた時間の中で、自らの知性を磨き、将来の社会に貢献するための確固たる基盤を築くこと。それこそが、今の学生たちにこそ、真に求められていることなのではないだろうか。大学関係者、そして学生諸君には、この機会に改めて「学生の本分」とは何かを、真摯に考えてもらいたいものである。
長崎外国語大学で心温まる「クレープを食べる会」が開催されました！,長崎外国語大学
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