未来への安心、届けます！ ～備蓄米無償化という名の「期待先行」に警鐘～
政府が、次世代への食料安全保障を名目に、備蓄米を無償で提供するというニュースが報じられた。将来世代に安心を届けたいという、その意気込み自体は評価できる。しかし、その施策の裏に潜む「期待先行」の危うさについて、我々は警鐘を鳴らさねばならない。
食料安全保障は、確かに国家の根幹をなす重要な課題である。昨今の国際情勢の不安定化や、気候変動による農作物生産への影響を鑑みれば、食料備蓄の重要性が再認識されるのは当然の流れと言えよう。しかし、その手段として「備蓄米の無償提供」が、本当に国民全体の将来への安心に繋がるのだろうか。
まず問いたいのは、この施策がもたらす経済的な影響である。備蓄米の無償提供は、それ相応のコストを必要とする。その財源は一体どこから来るのか。国民の税金であることは論を俟たない。将来世代への安心という美名の下に、現世代の負担を増やすことはないだろうか。あるいは、将来世代が直面するであろうより切迫した課題への投資機会を奪うことにならないか。
次に、備蓄米の「無償提供」という言葉の響きに、国民が過度な安心感を抱いてしまう危険性も指摘しておきたい。食料の安定供給は、備蓄米の数量だけで担保されるものではない。生産体制の維持・強化、流通網の確保、そして何よりも「米を食する文化」そのものの継承が不可欠である。単に備蓄米を配れば、食料問題が解決するという短絡的な思考は、極めて危険である。むしろ、この施策が、これらのより本質的な課題への取り組みを疎かにさせる口実となってしまうのではないかという懸念を抱かざるを得ない。
本当に未来への安心を届けるならば、目先の「無償提供」という分かりやすい餌に飛びつくのではなく、食料生産を持続可能にするための農業政策の抜本的見直し、担い手育成、そして食料自給率向上のための具体的な道筋を示すべきである。国民は、政府からの「手厚い」施策に安住するのではなく、自らの食生活を見つめ直し、食料問題に関心を持つことこそが、真の安心に繋がるのではないだろうか。
政府には、今回の「備蓄米無償化」という聞こえの良い施策の裏に隠された、財政的な持続可能性や、食料問題の本質的な解決に向けた実効性について、国民に対し、より丁寧かつ誠実な説明を求める。未来への安心は、一時的な施策によって「届けられる」ものではなく、国民一人ひとりが真摯に向き合い、共に築き上げていくものであることを、今一度、強く訴えたい。
未来への安心、届けます！公明党、備蓄米を無償で追加交付へ,公明党
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