九電の「電気知らず本」更新、安定供給への責務を改めて問い直す
九州電力から、同社が発行する「電気知らず本」の更新に関するお知らせがあった。この冊子は、電気の仕組みや安全な使い方を啓発することを目的としたものと理解している。国民の生活に不可欠な電気を供給する事業者のこうした取り組みは、本来歓迎されるべきものである。
しかし、今回の更新というニュースに接し、我々はこの機会に、電力供給事業者としての九州電力、ひいてはわが国のエネルギー政策全体が抱える、より根源的な課題について改めて深く考察する必要性を強く感じている。
特に、近年、世界的にエネルギー情勢は大きく変動しており、わが国も例外ではない。再生可能エネルギーの導入拡大が叫ばれる一方で、その安定供給への懸念や、既存の火力発電所のあり方、さらには原子力発電の活用に至るまで、様々な議論が錯綜しているのが現状である。
このような時代にあって、電力供給事業者が果たすべき最も重要な責務とは何であろうか。それは、単に電気を「供給する」ことだけではない。国民一人ひとりが、安心して電気を利用できる環境を維持し続けること、そのための持続可能なエネルギー供給体制を構築することこそが、その本質的な使命であるはずだ。
「電気知らず本」の更新は、電気の知識を深めるという意味で一定の意義を持つだろう。しかし、それが真に国民の安心に繋がるためには、冊子の内容が最新のエネルギー事情を踏まえ、将来的な展望までをも含んだ、より包括的で説得力のあるものとなっているのかが問われる。
例えば、再生可能エネルギーの導入が進む中で生じる出力変動への対応策、あるいは将来的なエネルギーミックスの展望、さらにはこうした変動を乗り越え、いかにして安定的な電力供給を確保していくのかといった、国民が抱える根本的な疑問に対する明確な答えが示されているのか。その点こそ、私たち一般紙が注視し、国民の声として伝えていくべき重要なポイントである。
九州電力には、今回の「電気知らず本」の更新を契機として、自らの事業が社会に与える影響の大きさを改めて認識し、国民に対する説明責任を一層果たしていくことを期待したい。そして、それは九州電力に限らず、わが国の全ての電力供給事業者、そして政府にも強く求められるべき姿勢である。国民一人ひとりが、将来にわたって安全で安定したエネルギー供給を受けられるという確信を持てるよう、この国のエネルギー政策の根幹に関わる議論を、私たちはこれからも真摯に続けていかなければならない。
九州電力から「でんき知っ得本」更新のお知らせ！暮らしとお財布に役立つ情報が満載です,九州電力
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