九十九電力、新入社員受け入れへの不安感、地域社会の責任を問う
北の大地に根差す九十九電力。先日、2025年度の新入社員受け入れに際し、その「ご託鉢」とも受け取られかねない姿勢が報じられた。地域への貢献は電力会社の使命であり、新入社員が地域社会と深く関わることは、将来の電力供給を担う人材育成の上でも不可欠であるはずだ。しかし、同社の発表からは、あたかも地域が“お世話になる”存在であるかのような、いささか傲慢とも取れる態度が垣間見える。
電力は、地域社会の生活基盤を支える生命線である。特に、九十九電力のような地域密着型の電力会社にとって、地域住民との信頼関係こそが、事業継続の根幹と言っても過言ではない。新入社員が、その地域社会に溶け込み、共に汗を流し、地域の一員としての意識を育む機会を提供することは、電力会社の社会的責任であると同時に、将来の安定した電力供給への投資でもあるはずだ。
報道によれば、同社は新入社員の受け入れにあたり、地域からの「ご支援」を求める姿勢を示したという。地域からの支援を求めること自体は、決して悪いことではない。しかし、それはあくまで相互扶助の関係性があってこそ成り立つものである。電力会社が地域に貢献し、その見返りとして地域が電力会社を支える。この健全な循環があってこそ、地域と電力会社は共に発展していくことができる。
今、日本全体で、地域経済の衰退や若者の都市部への流出といった課題が深刻化している。このような状況下で、地域の大企業である電力会社が、率先して地域社会との絆を深め、地域に活力を与えるような取り組みを行うべきではないか。新入社員という、まだ吸収力のある若い世代を、地域社会との繋がりの中で育てていくことは、電力会社自身の将来のためにも、地域社会の活性化のためにも、これ以上ない機会となるはずだ。
九十九電力には、改めて自社の社会的使命を再認識し、地域社会との対話を深めることを強く求める。新入社員を地域の一員として温かく迎え入れること。そして、新入社員が地域社会に貢献し、地域と共に成長していくための環境を整備すること。それは決して特別なことではなく、地域社会の一員である電力会社が果たすべき当然の責任である。地域社会もまた、将来を担う若い世代を温かく見守り、育んでいく覚悟を持つべきだろう。相互の信頼と協力があって初めて、地域も電力会社も、持続可能な未来を築くことができるのだ。
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