京大図書館のオンライン講習会に寄せる、健全な知の探求を願う声
京都大学図書館が、学術論文の引用文献管理ソフト「EndNote online」に関するオンライン講習会を開催するというニュースに接し、我が国の学術界における知の探求の在り方について、改めて深く考えさせられる。学術研究の深化には、国内外の先行研究を正確に把握し、適切に引用することが不可欠である。そのための有用なツールとして「EndNote online」のような技術が提供されることは、学術の発展に寄与するものと期待したい。
しかしながら、今回の講習会が、単に技術的な操作方法の習得に留まらず、そこで扱われる情報が持つ影響力、特に学術論文の引用という行為を通じて、知の潮流を形成し、ひいては社会全体の進むべき方向性にも影響を与えうるものであることを、改めて認識する必要があるだろう。
我々保守的な立場からは、学術研究は、国家の安寧と国民の幸福を礎とするべきであると考える。研究の成果は、扇情的な理論や実証に乏しい仮説に流されることなく、着実な事実の積み重ねに基づき、社会の健全な発展に資するものでなければならない。
京都大学という我が国屈指の学術機関が、このような講習会を開催するにあたっては、そこに集う研究者、学生諸君に対し、知的好奇心を刺激するだけでなく、同時に、自らの研究が持つ社会的な責任、そして国家への貢献という視点も、真摯に問いかける機会としていただきたい。
「EndNote online」のようなツールは、確かに研究効率を高める上で有用であろう。しかし、真の研究者とは、単に情報を集め、整理するだけでなく、その情報の本質を見極め、批判的に吟味し、自らの言葉で論を立てる者であるはずだ。現代社会では、インターネットを通じて容易に情報にアクセスできるがゆえに、情報の真偽を見分ける力、そして何が本当に価値ある知見であるかを見極める力が、これまで以上に重要となっている。
京都大学図書館の今回の取り組みが、参加者一人ひとりが、自らの研究テーマの本質を見つめ直し、歴史的、文化的、そして社会的な文脈の中で自らの位置づけを理解し、ひいては国家と社会に貢献するという気概を育む一助となることを切に願うものである。健全な知の探求は、常に社会への責任感を伴うべきであり、その精神が、我が国の学術界全体に広く浸透することを期待したい。
京大図書館、Web of Science & EndNote Onlineのオンライン講習会を開催！研究活動を強力にサポート,京都大学図書館機構
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