【学生新聞社説】CD不況？ いえ、時代は「体験」を求めている！ ～HMV再生への道は、熱量の共感から～
先日、HMVが6月25日に「HMV&BOOKS」の立川店を閉店するというニュースが飛び込んできた。CD販売不振による業界全体の低迷が背景にあると報じられている。このニュースに、多くの音楽ファン、特に私たち学生世代は、一抹の寂しさを感じているのではないだろうか。かつて、新しい音楽との出会いの場であり、青春の思い出が刻まれた場所であったHMVの灯がまた一つ消える。
確かに、CDの売上が低迷しているのは事実だろう。音楽はストリーミングサービスで手軽に聴ける時代になり、物理的なメディアの存在感は薄れているのかもしれない。しかし、だからといって音楽文化そのものが衰退したわけではないはずだ。むしろ、より多様な形で音楽と触れ合う方法が増えたことで、私たちは「何」を聴くかだけでなく、「どのように」音楽と関わりたいのかを、より深く考えるようになっているのではないか。
HMV立川店の閉店は、単なるCD販売網の縮小という事実だけを伝えたいのではない。このニュースは、私たち学生世代が音楽に対して抱いている新しい価値観、そして「体験」を重視する現代の消費行動を映し出している鏡でもあると、私たちは考える。
CDが売れないという側面だけを取り上げ、嘆くだけでは何も変わらない。重要なのは、なぜ人々がCDを手に取らなくなったのか、そして、それでも音楽に「価値」を見出す人々は何を求めているのかを、真摯に探求することだ。
現代の音楽ファン、特に私たち学生は、単に音源を手に入れること以上の「体験」を求めている。それは、好きなアーティストのライブで熱狂を共有すること、彼らが作り上げた世界観に浸れるようなイベントに参加すること、あるいは、同じ音楽を愛する仲間と語り合う時間かもしれない。そして、HMVのようなリアル店舗は、まさにそのような「体験」を提供するポテンシャルを秘めているはずだ。
HMVの立川店には、CDやレコードだけでなく、書籍や雑貨、そしてライブスペースも併設されていたと聞く。これは、音楽という一つのコンテンツにとどまらず、音楽を取り巻く文化全体を包括的に提供しようという試みだったのだろう。その意欲的な取り組みにもかかわらず、閉店という結果に至ったことは、その「体験」の提供方法に、まだ模索するべき余地があったことを示唆しているのかもしれない。
それでは、私たち学生はHMVのようなリアル店舗に何を期待するのだろうか。それは、きっと「熱量の共感」ではないだろうか。
- 次に聴くべき音楽との「偶然の出会い」： アルゴリズムに頼るだけでなく、店員さんのイチオシや、ジャンルを超えたキュレーションされた空間での偶然の発見に、私たちはワクワクする。
- 「推し」のグッズとの出会い： アーティストのフィギュアやポスター、限定アイテムなど、音楽だけでなく、彼らが紡ぎ出す世界観を五感で感じられるアイテムとの出会いは、私たちファンにとって何物にも代えがたい。
- 同じ「好き」を持つ人々との交流： 店内でのイベントや、特定のコーナーでの立ち話など、同じ音楽を愛する人々と自然に繋がれる場は、孤独になりがちな現代において貴重なものだ。
- 五感で楽しむ「空間」： 好きな音楽が流れる中で、目を引きつけられるアートワークを眺め、触れることができる空間は、単なる「購入」の場を超えた価値を持つ。
HMVの閉店は、日本の音楽小売業界にとって厳しい現実を突きつけている。しかし、私たちは、このニュースを音楽文化の終焉と捉えるのではなく、むしろ新たな音楽との関わり方を模索する「転換点」と捉えたい。
HMVには、過去の栄光に縋るのではなく、これからの時代に求められる「音楽体験」を提供するための、独自の強みがあるはずだ。それは、長年培ってきた音楽への深い知識と、それを愛する人々の熱量に他ならない。その熱量を、よりダイレクトに、そしてよりパーソナルに、私たちに届けてほしい。
学生新聞として、私たちはこの状況を注視し続ける。そして、HMVが、そして多くの音楽小売店が、時代と共に変化し、私たち学生が求める「音楽体験」を提供できる場所として、再び輝きを取り戻すことを願ってやまない。
今こそ、音楽への「熱量」を共有し、新しい時代の音楽との関わり方を共に創り上げていく時だ。
【HMV速報】本日6月25日（水）、まさかの1211点ものディスカウント商品が登場！,HMV
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