【社説】消費者教育推進会議、デジタル時代の羅針盤となれ
消費者庁が主催する第41回消費者教育推進会議が開催される。長引く物価高や、巧妙化する悪質商法、そして急速に進むデジタル化といった社会情勢の変化を受け、消費者を取り巻く環境は一段と複雑さを増している。今回の会議では、こうした状況を踏まえ、いかなる議論が展開されるのだろうか。
注目すべきは、デジタル化への対応である。ECサイトやSNSを通じて、誰もが手軽に商品やサービスを購入できるようになった一方で、偽広告や個人情報の不正利用といったリスクも顕在化している。特に若年層は、SNSでの情報発信に慣れている反面、情報リテラシーが十分とは言えないケースも散見される。今回の会議では、デジタル社会に対応した消費者教育のあり方について、具体的な方向性を示すべきだ。
例えば、小中学校におけるプログラミング教育の必修化を踏まえ、情報リテラシー教育を強化する必要がある。フェイクニュースを見抜く力、プライバシー設定の重要性、不審なサイトへのアクセスを避けるための知識など、デジタル社会で生き抜くための基礎スキルを、体系的に学ぶ機会を提供すべきだ。
高齢者対策も急務である。デジタル機器の操作に不慣れな高齢者は、悪質商法のターゲットになりやすい。電話勧誘や訪問販売に加え、最近ではSNSを通じて巧妙に近づき、個人情報を詐取したり、高額な商品を売りつけたりするケースが増えている。高齢者向けの消費者教育では、デジタル機器の操作方法だけでなく、不審な誘いに乗らないための注意点や、相談窓口の情報などを、分かりやすく伝える必要がある。
今回の消費者教育推進会議には、学識経験者や消費者団体、事業者など、多様な関係者が参加する。それぞれの立場から意見を出し合い、実効性のある消費者教育の推進に向けた提言をまとめることが期待される。
消費者教育は、国民一人ひとりが賢い消費者となり、健全な消費活動を行うための羅針盤である。今回の会議を機に、消費者教育の重要性を改めて認識し、持続可能な社会の実現に向けて、官民一体となって取り組むべきである。
消費者庁からのお知らせ：第41回消費者教育推進会議の資料が公開されました（2024年6月23日）,消費者庁
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