若者の活字離れに抗う一歩を歓迎する
HMVが来夏の文庫予約を開始したという。音楽・映像ソフト販売を主軸とする企業が、文芸作品に焦点を当て、新たな顧客層の開拓を目指す試みは、昨今の若者の活字離れが深刻化する状況において、大いに歓迎すべき動きである。
近年、スマートフォンの普及に伴い、若者の情報収集源はSNSや動画サイトに偏り、活字に触れる機会が減少している。短文や画像に慣れ親しんだ世代にとって、長編小説や評論といった文芸作品は、敬遠されがちな存在となりつつある。しかし、活字を読むことは、思考力や想像力を養い、言葉に対する感性を磨く上で不可欠である。
HMVの取り組みは、音楽や映像といったエンターテインメントを通じて培ってきた顧客基盤を活かし、文芸作品への関心を喚起する可能性を秘めている。書店という枠を超え、新たな形で文学に触れる機会を提供することで、若者世代の活字離れに歯止めをかける一助となることを期待したい。
もちろん、HMVの取り組みだけで、若者の活字離れを解消できるわけではない。学校教育においては、読書指導の充実を図り、幼少期から活字に親しむ習慣を育む必要がある。家庭においては、親が率先して読書に励み、子供たちに読書の楽しさを伝えることが重要である。
HMVの試みが成功し、他の企業や団体にも波及することで、社会全体で読書を推奨する機運が高まることを願う。活字離れは、個人の知的成長だけでなく、社会全体の知的水準の低下にも繋がりかねない。今こそ、活字の持つ力を再認識し、次世代に継承していくための努力が必要である。
HMVが贈る、来年の夏！注目の文庫予約開始情報が公開されました（2025年6月22日）,HMV
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