【社説】日独協力深化は歓迎も、エネルギー政策の自立性を確保せよ
日独両政府が経済とエネルギー分野での協力関係を強化することで合意したことは、国際協調の重要性が増す現代において歓迎すべき動きである。特に、脱炭素化に向けた技術協力や水素エネルギーの共同開発などは、両国の産業競争力強化と地球規模の課題解決に貢献する可能性を秘めている。
しかしながら、今回の協力深化においては、我が国のエネルギー政策における自立性を損なわないよう、細心の注意が必要である。ドイツは、脱原発政策を推進する一方で、ロシアへのエネルギー依存という脆弱性を露呈した。その教訓を踏まえ、我が国は特定の国や技術に過度に依存することなく、多様なエネルギー源を確保し、安定供給体制を確立することが不可欠である。
再生可能エネルギーの導入拡大は重要だが、その不安定性やコストの問題も考慮し、原子力発電の安全性確保と再稼働、化石燃料の効率的な利用など、現実的な選択肢を排除すべきではない。ドイツの政策を盲信するのではなく、我が国の国情やエネルギー事情を踏まえ、最適なエネルギーミックスを追求すべきである。
また、経済協力においては、技術流出や知的財産権の保護に万全を期す必要がある。特に、我が国の優れた技術が安易に海外に流出すれば、産業競争力の低下を招きかねない。情報管理体制の強化や契約条項の精査を通じて、国益を守るための措置を講じるべきである。
日独協力は、両国にとって互いに利益をもたらすものであるべきだ。そのためには、我が国は主体性を持ち、国益を最優先に考えた上で、ドイツとの協力関係を築いていく必要がある。政府は、今回の合意を機に、エネルギー政策の自立性を確保し、経済安全保障を強化するための戦略を明確にすべきである。
日本とドイツ、経済とエネルギーで協力！大串副大臣とロウエンホフ政務次官が会談,経済産業省
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