【社説】万博を「未来社会の実験場」へ 閉塞感を打ち破るイノベーションを
大阪・関西万博の開幕までいよいよ1年を切った。先日行われた年次総会では、各パビリオンの建設状況やイベント内容などが報告されたが、果たして現状の計画で、我々は「未来社会の姿」を体感できるのだろうか。
高度経済成長期に開催された大阪万博は、日本の技術力を世界に示し、国民に未来への希望を与えた。しかし、現代社会は複雑さを増し、閉塞感が漂っている。少子高齢化、環境問題、格差の拡大…。「未来」は、かつてのように輝かしいものではなく、むしろ不安の対象となっている。
2025年の万博は、過去の成功体験を踏襲するのではなく、こうした社会の課題に真正面から向き合い、解決策を提示する場となるべきだ。単なる展示イベントではなく、「未来社会の実験場」として、大胆なイノベーションを推進する必要がある。
具体的には、以下の3点を提言したい。
- 先端技術の実装と社会実装の加速： AI、ロボット、バイオテクノロジーといった最先端技術を、万博会場で積極的に活用し、その効果や課題を検証する。例えば、高齢化が進む社会に向けた介護ロボットの実証実験や、再生可能エネルギーを活用した持続可能な社会モデルの提示など、具体的なソリューションを示すべきだ。
- 多様な参加者の共創プラットフォームの構築： 企業、大学、研究機関だけでなく、NPOや市民団体、アーティストなど、多様な主体が参加し、アイデアを交換し、協力して未来社会をデザインするプラットフォームを構築する。従来の「企業主導」の万博から脱却し、社会全体で未来を創造する意識を醸成する必要がある。
- 「持続可能性」を最優先とする運営： 万博の建設・運営においては、環境負荷を最小限に抑え、資源を有効活用する。使い捨てプラスチックの削減、再生可能エネルギーの利用、食品ロスの削減など、具体的な目標を設定し、徹底的に実行する。万博自体が、持続可能な社会のモデルとなるべきだ。
万博は、単なる経済効果や観光客誘致を目的とするのではなく、社会の課題解決と未来創造に向けた投資と捉えるべきだ。閉塞感を打ち破り、希望に満ちた未来を切り拓くための「実験場」として、大阪・関西万博を最大限に活用することを強く求める。
今こそ、過去の成功体験に囚われず、大胆な発想と行動力で、万博を「未来社会のショーケース」から「未来社会の創造拠点」へと進化させる時である。
【速報】2025年6月19日開催の年次総会、提案されたすべての決議が承認されました！,Business Wire French Language News
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