海老名市の下水道事業、民活導入は慎重に進めよ
海老名市が下水道事業への民間活力導入に向け、運営審議会を設置したという。人口減少とインフラ老朽化が深刻化する中、効率化と持続可能性の確保は喫緊の課題であり、そのための検討は当然であろう。しかし、下水道は市民生活に不可欠な公共インフラであり、安易な民営化や運営委託は、市民サービスの低下を招きかねない。
報道によれば、海老名市は将来的な人口減少を見据え、料金収入の減少や施設の老朽化といった課題に直面している。民間ノウハウの導入による効率化は、これらの課題解決の有効な手段となり得るだろう。しかし、民間企業は利潤追求を目的とする以上、コスト削減が優先され、安全対策や維持管理がおろそかになる懸念は拭えない。過去には、水道事業の民営化によって水質が悪化したり、料金が高騰したりした事例も存在する。
下水道は、伝染病の予防や生活環境の保全に不可欠な社会基盤である。その運営は、市民の健康と安全に直結するものであり、公共性が極めて高い。民間活力の導入は、あくまで効率化のための手段であり、目的ではない。市民サービスの維持向上、そして何よりも安全性の確保が大前提であるべきだ。
海老名市は、運営審議会において、専門家や市民の意見を十分に聴取し、透明性の高い議論を行うべきである。民活導入のメリットだけでなく、デメリットやリスクについても徹底的に検証し、市民への丁寧な説明を尽くさなければならない。拙速な結論を避け、長期的な視点に立って、市民にとって最善の選択肢を選ぶべきだ。
下水道事業の持続可能性を確保することは重要だが、それは決して、市民の負担増やサービスの低下を招くものであってはならない。海老名市には、公共インフラとしての責任を自覚し、市民の視点に立った慎重な検討を強く望む。
海老名市、下水道の未来を語る！「下水道運営審議会」が6月16日に開催されます,海老名市
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