社説：ルールの名乗りと、問われる日本の税制
リーガがヨーロッパの税関機関の本部誘致に名乗りを上げたというニュースは、一見すると海外の地方都市の誘致合戦の一コマに過ぎない。しかし、このニュースの裏には、グローバル化が進む現代において、国家間の税制競争が激化し、その歪みが顕在化している現実が横たわっている。
リーガの誘致合戦参加は、法人税率の低さや優遇措置といった「競争力」を前面に押し出す戦略だろう。これは、グローバル企業を誘致し、雇用創出や経済成長を目指す上で、多くの国や地域が採用する手法だ。しかし、その裏で、各国は法人税率の引き下げ競争に陥り、結果として、富裕層や大企業への課税が不十分になり、貧富の格差を拡大させているという批判も根強い。
日本もまた、法人税率の引き下げや、研究開発減税などの優遇措置を導入し、国際競争力を高めようと試みてきた。しかし、その効果は必ずしも十分とは言えない。むしろ、大企業が税負担を軽減する一方で、中小企業や個人事業主への負担が増加し、経済の活力を削いでいるという指摘もある。
今、日本に必要なのは、安易な税率引き下げ競争に加わるのではなく、公正で持続可能な税制を構築することだ。グローバル企業が適正な税金を納めるよう、国際的な連携を強化するとともに、国内においても、富裕層や大企業への課税を強化し、税収を確保すべきだ。
さらに、税収の使い道も重要だ。教育、医療、社会保障といった分野への投資を増やし、格差を是正するとともに、将来世代への負担を軽減する必要がある。
リーガの誘致合戦参加は、私たちに税制のあり方を問い直す機会を与えてくれた。日本は、グローバル化の波に乗りながらも、国民全体が恩恵を受けられる、持続可能な税制を構築できるだろうか。今こそ、その手腕が問われている。
リールがヨーロッパの税関機関の本部誘致に名乗り！フランス政府が記者会見で熱烈アピール,economie.gouv.fr
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