世界の海を守るための基金創設、日本の主体的な貢献を期待する
世界貿易機関（WTO）による漁業基金の提案募集は、乱獲や違法漁業といった地球規模の課題解決に向けた重要な一歩である。長年、日本の漁業関係者は、資源管理の重要性を訴え、持続可能な漁業の実現に向けて努力を重ねてきた。今回の基金創設は、そうした努力を国際的に支援し、実効性を高める上で大きな意義を持つ。
しかし、基金の運営においては、いくつかの留意点がある。第一に、資金援助の対象となる開発途上国においては、透明性の高い資源管理体制の構築が不可欠である。資金が不正に使用されたり、効果のないプロジェクトに浪費されたりすることのないよう、厳格な監視体制を確立する必要がある。
第二に、基金の運営は、各国の漁業事情を十分に考慮したものでなければならない。一律的な規制や画一的な支援策は、かえって混乱を招き、漁業の持続可能性を損なう恐れがある。それぞれの国の伝統的な漁法や文化、経済状況を踏まえ、地域の実情に合った支援を行うことが重要である。
日本は、世界有数の漁業国として、今回の基金創設に積極的に貢献すべきである。資金面での支援はもちろんのこと、日本の持つ高度な漁業技術や資源管理ノウハウを開発途上国に提供することで、世界の漁業の持続可能性向上に大きく貢献できるはずだ。
同時に、日本は自国の漁業についても、より一層の資源管理努力を強化する必要がある。EEZ（排他的経済水域）における外国漁船の違法操業対策、漁獲量の厳格な管理、資源評価の精度向上など、課題は山積している。今回の基金創設を機に、日本の漁業関係者は、改めて「海の恵みを持続可能な形で享受する」という原点に立ち返り、未来世代に豊かな海を引き継ぐための努力を続けるべきである。
わが国は、長年にわたり培ってきた漁業の知識と経験を活かし、国際社会におけるリーダーシップを発揮することで、世界の海の持続可能性に貢献していくべきである。
【速報】世界の海を守る！WTO漁業基金が提案募集を開始 – 持続可能な漁業への第一歩,WTO
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