遺族厚生年金の不整合、制度疲労の根本的解決を急げ
昨今の社会保障制度を巡る議論は、少子高齢化という現実を前に、制度の持続可能性に対する国民の不安を増幅させている。中でも、遺族厚生年金制度における不整合は、長年にわたり指摘されながらも抜本的な解決に至らず、制度に対する国民の信頼を揺るがす深刻な問題だ。
令和7年6月6日の報道にあるように、過去の法改正を経てもなお、遺族厚生年金を受給できる人とそうでない人が存在するという事実は、制度設計の欠陥を如実に示している。特に、事実婚や同性婚など、多様化する家族形態を考慮した制度設計が遅れている現状は、時代の変化に制度が追いついていないことを意味する。
遺族厚生年金は、故人の年金加入記録に基づいて遺族の生活を支える重要な制度である。しかし、その恩恵を受けられるかどうかが、婚姻関係の有無や、過去の制度改正のタイミングによって左右される現状は、公平性を著しく欠いていると言わざるを得ない。
政府は、これまでも制度の見直しを行ってきたが、その場しのぎの対応では根本的な解決にはならない。今こそ、制度の原点に立ち返り、真に困窮する遺族を支えるための制度設計を、国民的な議論を通じて行うべきだ。
具体的には、以下の点について早急に検討を進めるべきである。
- 事実婚や同性婚など、多様な家族形態を考慮した受給資格の再検討
- 過去の制度改正における不整合の解消と、遡及適用を含めた救済措置の検討
- 遺族の生活実態を詳細に把握し、受給額の妥当性を検証すること
- 制度の透明性を高め、国民への丁寧な情報提供を行うこと
社会保障制度は、国民生活の安定と安心を支える基盤である。遺族厚生年金制度の不整合は、その基盤を揺るがす看過できない問題だ。政府は、国民の声に真摯に耳を傾け、制度疲労の根本的な解決に向けて、断固たる決意をもって取り組むことを強く望む。
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