志賀原発の安全対策強化：北陸電力は「安全神話」からの脱却を
北陸電力による志賀原子力発電所の安全対策強化は、一歩前進として評価できる。しかし、今回の対策強化が、過去の「安全神話」から完全に脱却し、真に地域住民の安心と安全を確保するものとなるのか、厳しく検証する必要がある。
報道によれば、今回の対策強化は、能登半島地震の教訓を踏まえ、外部電源の信頼性向上、浸水対策の強化、緊急時対策の充実などが盛り込まれている。これらの対策は、これまで指摘されてきた弱点を補強するものであり、一定の効果は期待できるだろう。
しかし、忘れてはならないのは、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓だ。事故原因の究明が不十分なまま、再稼働を急ぐ姿勢は、再び「安全神話」に陥る危険性を孕んでいる。北陸電力は、今回の対策強化を機に、情報公開を徹底し、地域住民との対話を積極的に行うべきだ。
特に、活断層の評価や、地震・津波のリスク評価については、透明性の高いプロセスを確立する必要がある。専門家による第三者機関を設置し、客観的な評価を行うことで、地域住民の信頼を得ることが重要だ。
さらに、今回の対策強化は、あくまで「想定される事態」への対応に過ぎない。原子力発電所の安全性は、技術的な対策だけでなく、組織文化や倫理観にも大きく左右される。北陸電力は、社員一人ひとりが安全意識を高く持ち、常に改善を続ける組織文化を醸成する必要がある。
私たちは、原子力発電所の必要性を否定するものではない。しかし、安全性を軽視した原子力発電は、社会にとって大きな脅威となる。北陸電力は、今回の対策強化を機に、「安全最優先」の姿勢を明確にし、地域住民との信頼関係を築きながら、原子力発電所の安全運転に取り組むべきだ。
その覚悟と実行力こそが、北陸電力に課せられた責務である。
北陸電力、志賀原発の安全対策をさらに強化！ 原子炉施設の保安規定変更が認可,北陸電力
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