無人島サバイバル研修、大学生に「生きる力」を育むか？
ITビジネス科が企画する無人島サバイバル研修が、来年度から実施されるという。参加者たちは、電気もガスもない環境で数日間を過ごし、自力で食料を調達し、 shelter を築き、生き延びるための知恵と工夫を学ぶという。一見すると、現代社会からかけ離れた体験を通して、学生たちの「生きる力」を育む画期的な試みのように見える。
しかし、私たちはこの研修に疑問を抱かざるを得ない。
第一に、安全性の問題である。無人島でのサバイバルは、自然の脅威と隣り合わせだ。食料調達の失敗、怪我や病気、天候の急変など、予期せぬ事態が起こりうる。主催者側は万全の安全対策を講じるとしているが、それでもリスクはゼロにはならない。学生たちの安全を最優先に考え、本当に実施する価値があるのか、慎重に検討すべきだ。
第二に、研修の目的と効果の曖昧さである。「生きる力」とは一体何を指すのか。無人島でのサバイバルスキルが、現代社会でどのように役立つのか。研修を通して何を学び、どのような成長を期待するのか、具体的な目標設定と検証が必要だ。単なる物珍しさや話題性だけで企画されたものではないか、疑念を抱かざるを得ない。
第三に、費用対効果の問題である。無人島での研修には、多額の費用がかかることが予想される。その費用を、他の教育プログラムや学生支援に充てる方が、より多くの学生にとって有益ではないか。費用に見合うだけの教育効果が得られるのか、客観的なデータに基づいて評価する必要がある。
もちろん、私たちは新しい試みを否定するつもりはない。しかし、学生たちの安全と成長を真剣に考えるならば、無人島サバイバル研修は、十分に検討し、改善すべき点が多い。
大学側には、研修の目的、安全対策、費用対効果について、学生に対して丁寧な説明を求めたい。そして、学生たちは、安易な冒険心や流行に流されることなく、この研修が本当に自分たちの成長に繋がるのか、冷静に見極める必要がある。
「生きる力」は、無人島でサバイバルするだけでなく、困難な状況に立ち向かい、他者と協力し、社会に貢献することによっても育まれる。大学には、無人島研修だけでなく、多様な学びの機会を提供し、学生たちが自らの可能性を最大限に開花させられるよう、支援してほしい。
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