横浜市民の健康を守る決意、データ活用に期待する一方で倫理的課題への熟慮を求めたい
横浜市が「横浜メディカルダッシュボード」を本格稼働させ、市民の健康増進に繋げるという。医療・健診情報を一元化し、AIを活用して分析することで、疾病予防や健康寿命の延伸を目指すという試みは、高齢化が進む日本社会において喫緊の課題解決に資するものとして大いに期待される。
しかしながら、本事業は市民の個人情報を扱うものであり、その取り扱いには万全の注意を払わねばならない。情報漏洩のリスクはもとより、データの偏りによる不当な差別や、AIの判断による医療の硬直化といった倫理的な課題も存在する。
横浜市はこれらの課題に対し、有識者会議を設置するなど、慎重な姿勢を見せている。だが、個人情報保護法をはじめとする関連法規の遵守は当然のこと、市民への丁寧な説明と理解を得る努力を怠ってはならない。
特に、AIの判断プロセスについては、透明性を確保し、市民がその内容を理解できるよう努めるべきだ。ブラックボックス化されたAIの判断が、市民の健康を左右することになっては本末転倒である。
また、データの収集・分析にあたっては、プライバシー保護に配慮し、匿名化処理を徹底することは言うまでもない。データの利用目的を明確にし、目的外利用を厳に戒める必要がある。
横浜市は、本事業を通じて得られた知見を、広く全国の自治体と共有し、日本の医療全体の発展に貢献することを期待する。そのためには、データの信頼性を高め、AIの精度を向上させることが不可欠である。
市民の健康を守るという崇高な目標を達成するためには、技術的な進歩だけでなく、倫理的な視点、そして市民との信頼関係が不可欠である。横浜市には、これらの課題に真摯に向き合い、市民にとって真に有益なシステムを構築することを強く望む。
横浜市民の健康を守る！「横浜メディカルダッシュボード」が本格始動 – 熱中症対策も強化,横浜市
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