女川原発2号機、プルサーマル導入準備に見るエネルギー政策の矛盾
東北電力女川原子力発電所2号機が、使用済燃料を再処理して得られるプルトニウムを混ぜたMOX燃料（プルサーマル燃料）の導入に向けた準備を進めている。原子力規制委員会の審査に合格し、地元自治体の同意が得られれば、2020年代後半にもプルサーマル発電が開始される見込みだ。
しかし、この動きは、我が国のエネルギー政策における根深い矛盾を浮き彫りにしていると言わざるを得ない。
政府は、2050年カーボンニュートラル実現のため、原子力発電を重要な選択肢の一つと位置づけている。使用済燃料の再処理も、資源の有効利用という観点から推進されている。プルサーマル発電は、使用済燃料の再利用を促進し、高レベル放射性廃棄物の減容化にもつながるとして、国策として進められてきた。
一方で、福島第一原子力発電所事故から13年が経過した今も、事故の教訓は十分に生かされているとは言い難い。避難生活を余儀なくされている人々は未だ多く、原発事故に対する国民の不安は根強い。
プルサーマル発電は、通常のウラン燃料に比べてプルトニウムの割合が高いため、運転管理にはより高度な技術と安全対策が求められる。女川原発は、東日本大震災で被災した経験を踏まえ、津波対策や電源確保など、安全対策の強化を図ってきたとされている。しかし、原子力発電に「絶対安全」はあり得ない。いかなる状況下でも事故を未然に防ぎ、万が一の事態が発生した場合でも、被害を最小限に抑えるための万全の備えが必要不可欠である。
さらに、プルサーマル発電で使用されるMOX燃料は、核兵器の原料となるプルトニウムを含むため、核不拡散の観点からも厳重な管理が求められる。国際社会からの信頼を得るためには、透明性の高い情報公開と、国際的な監視体制への積極的な協力が不可欠である。
私たちは、女川原発2号機のプルサーマル導入準備を、エネルギー政策のあり方を改めて見つめ直す契機とすべきである。
政府は、原子力発電の必要性を強調するだけでなく、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた具体的な道筋を示すべきだ。地域住民との対話を重ね、原子力発電に対する理解を深める努力を怠ってはならない。そして、何よりも安全性を最優先に、徹底的な安全対策を講じることが求められる。
私たち学生は、将来の社会を担う世代として、エネルギー問題に対する関心を高め、主体的に議論に参加していく必要がある。福島の事故の教訓を胸に刻み、持続可能な社会の実現に向けて、私たち自身の未来を切り開いていく覚悟を持たなければならない。
女川原発2号機、使用済燃料の「お引っ越し」準備へ！ 乾式貯蔵施設の設置許可を取得,東北電力
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