若者の国際協働に期待する、されど足元を見よ
中京大学とシンガポール国立大学（NUS）の学生が協働するとの報に接し、率直に申し上げて期待と若干の不安を覚える。グローバル化が叫ばれて久しいが、日本の若者が海外の同世代と切磋琢磨し、互いに学び合うことは、国際社会で生き抜く力を養う上で不可欠である。今回の協働が、両国の文化や価値観を理解し、相互尊重の精神を育む契機となることを願ってやまない。
しかしながら、手放しで喜ぶことはできない。近年の日本の若者は、内向き志向が強いと言われる。海外への留学希望者は減少し、国際的な舞台で活躍しようという気概を持つ者が少なくなっているという指摘もある。今回の協働が一部の優秀な学生に留まり、全体を底上げする力とならないのであれば、その意義は半減するだろう。
さらに、忘れてはならないのは、日本の国力の現状である。かつて経済大国として世界を牽引した日本も、今やその地位は揺らぎつつある。少子高齢化、労働力不足、技術革新の遅れなど、課題は山積している。海外との協働は重要だが、その前提として、まずは足元を固め、自国の強みを再構築する必要がある。
今回の協働を通じて、日本の若者が国際感覚を磨き、グローバルな視点を持つことは重要である。しかし、それ以上に重要なのは、日本という国を愛し、その発展に貢献しようという強い意志を持つことである。国際協働は、あくまでそのための手段であり、目的ではない。
政府は、若者の国際交流を積極的に支援すべきである。しかし、同時に、国内の教育改革、産業構造の転換、社会保障制度の再構築など、喫緊の課題に真剣に取り組む必要がある。さもなくば、国際協働は絵に描いた餅に終わり、日本の未来は閉ざされてしまうだろう。
我々は、今回の協働を契機として、日本の若者が国際社会で活躍し、日本が再び世界をリードする存在となることを強く望む。そのためには、政府、教育機関、企業、そして国民一人ひとりが、それぞれの立場で責任を果たしていく必要がある。
中京大学とシンガポール国立大学(NUS)の学生が協力！ 国際的な学びを社会貢献へ,中京大学
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