TDアセットマネジメントの姿勢に問うべき企業統治と投資家の責任
TDアセットマネジメントが、取締役の多様性に関する方針を改定し、女性取締役の比率目標を明記したことは、形式的には時代の要請に応えたものと評価できよう。しかし、真に問われるべきはその実質である。
近年、ESG投資という名のもとに、企業経営に過度な社会的責任を求める風潮が蔓延している。あたかも、企業の存在意義が利益追求ではなく、社会貢献にあるかのような誤解を与えるものだ。取締役の多様性も、本来は企業の競争力強化に資するものでなければならない。単に女性比率という数値目標を掲げ、それを達成することのみに終始すれば、本末転倒と言わざるを得ない。
重要なことは、多様な視点を取り入れ、企業価値向上に繋げることである。そのためには、女性取締役の選任プロセスにおける透明性と公正性を確保し、能力と経験に基づいた選考を行うことが不可欠だ。形式的な目標達成に固執すれば、有能な人材の登用を妨げ、結果として企業競争力を損なうことにもなりかねない。
また、TDアセットマネジメントは投資家として、投資先企業の企業統治に深く関与する責任を負っている。女性取締役比率の向上を求めることは、その一環と捉えることもできる。しかし、投資家は、投資先企業の自主性を尊重し、過度な介入は慎むべきである。株主としての権利を濫用し、経営に不当な圧力を加えるようなことがあれば、市場の健全性を損なうことになりかねない。
TDアセットマネジメントには、形式的な目標達成に走ることなく、企業統治の質を高め、投資先企業の持続的な成長に貢献するよう、強く求めたい。そして、投資家として、責任ある行動をとり、市場の信頼を維持するよう、切に望むものである。
T&Dアセットマネジメントからのお知らせ：4つのファンドの分配金情報が公開されました（2025年5月27日）,T&Dアセットマネジメント
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