TDアセットマネジメント「ガンジス」ファンド組成に見る、責任ある国際金融とは
TDアセットマネジメントがインドの株式市場に投資する「ガンジス」ファンドを組成したという。新興国の成長を取り込むという点では理解できるが、その投資先が「ガンジス」という名を持つファンドであることに、強い懸念を表明せざるを得ない。
周知の通り、ガンジス川はヒンドゥー教徒にとって聖なる川であり、沐浴によって罪を洗い流すと信じられている。しかし、その一方で、生活排水や産業廃棄物の流入により、深刻な水質汚染が問題となっているのも事実である。
TDアセットマネジメントは、ファンドの名前に「ガンジス」という言葉を用いることで、インドの精神文化に敬意を払う姿勢を示したのかもしれない。しかし、同時に、環境汚染という現実から目を背け、聖なるイメージのみを利用しているのではないかという疑念を抱かざるを得ない。
企業が海外に投資を行う際には、その国の文化や歴史に対する深い理解と敬意が不可欠である。しかし、それ以上に重要なのは、環境や人権といった普遍的な価値観を尊重し、責任ある投資を行うことである。
TDアセットマネジメントは、「ガンジス」ファンドの投資先選定において、環境保護や労働者の権利保護といったESG（環境、社会、ガバナンス）の観点を十分に考慮しているのだろうか。また、投資によって得られた利益が、現地の環境改善や社会貢献にどのように還元されるのか、具体的な計画を示す必要がある。
新興国の成長を取り込むことは重要だが、そのためには、短期的な利益を追求するだけでなく、長期的な視点に立ち、持続可能な開発に貢献することが求められる。TDアセットマネジメントには、今回の「ガンジス」ファンド組成を機に、改めて責任ある国際金融とは何かを問い直し、社会からの信頼を得られるような投資活動を実践することを強く望む。
我々は、TDアセットマネジメントの今後の動向を注視するとともに、他の金融機関に対しても、同様の問題意識を持つことを強く訴えたい。
T&Dアセットマネジメント、「ガンジス」ファンドレポート2025年5月版を公開！インド市場の最新動向と投資戦略をチェック,T&Dアセットマネジメント
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