サステナブルファイナンス有識者会議に思う – 錦上に花を添える前に足元を見よ
金融庁が「サステナブルファイナンス有識者会議」を開催するという。脱炭素化やSDGsといった国際的な潮流に乗り、企業の持続可能性を高めるための資金調達を促進するという意図は理解できる。しかし、この会議の開催には、いくつかの疑問を抱かざるを得ない。
第一に、絵に描いた餅になりはしないかという懸念だ。サステナブルファイナンスという美名の下に、実態を伴わない投資が横行すれば、グリーンウォッシュ（見せかけの環境配慮）を助長するだけだ。企業の環境対策の実効性を厳格に評価する仕組みが不可欠であり、そのための具体的な指標や基準を策定する必要がある。
第二に、本末転倒になっていないかという疑念だ。足元の日本経済は、デフレからの脱却、少子高齢化、地方の衰退など、課題が山積している。サステナブルファイナンスに注力することも重要だが、まずはこれらの喫緊の課題解決に資源を集中すべきではないか。経済の土台が揺らいでいる状況で、錦上に花を添えるような政策を進めても、効果は限定的だろう。
第三に、国民の理解と共感が得られているかという問いだ。サステナブルファイナンスは、長期的な視点に立ち、社会全体の利益を追求するものである。しかし、その理念は、目先の利益を重視する国民には理解されにくいかもしれない。政府は、サステナブルファイナンスの意義やメリットを丁寧に説明し、国民の理解と共感を醸成する必要がある。
サステナブルファイナンスは、これからの時代に必要な取り組みであることは否定しない。しかし、その推進にあたっては、上記の点を十分に考慮し、慎重に進めるべきだ。金融庁には、有識者会議での議論を踏まえ、実効性のある政策を打ち出すとともに、国民への丁寧な説明を尽くすことを期待する。
金融庁、「サステナブルファイナンス有識者会議」を開催！より良い未来のためのお金の流れを議論,金融庁
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