社説：地方創生の掛け声倒れか？ 総務省の非常勤職員募集に見る歪み
総務省が地方債課で働く非常勤職員を募集するという。地方創生を旗印に掲げる政府の中枢で、その財政を支える部署が、不安定な雇用形態の職員に頼らざるを得ない現状は、まさに地方創生の欺瞞を象徴していると言わざるを得ない。
地方創生とは聞こえは良いが、実態はどうだろうか。東京一極集中は依然として是正されず、地方は疲弊の一途を辿っている。地方債という名の借金に頼らざるを得ない地方自治体の苦境は、国の財政政策の失敗を物語っているのではないか。
今回の募集で注目すべきは、雇用形態が「非常勤」である点だ。専門的な知識や経験が求められる業務であるにも関わらず、安定した雇用を保障しないのは、人材の育成を軽視しているとしか言いようがない。これでは、地方債という複雑な問題を抱える地方自治体を、真にサポートできる人材は育たないだろう。
さらに、地方創生を掲げる総務省自身が、このような不安定な雇用形態を率先して行うことは、矛盾としか言いようがない。地方に対して「定住促進」や「雇用創出」を呼びかける一方で、自らは「使い捨て」とも言える雇用形態を推進しているのだ。これでは、地方は国に対して不信感を募らせるばかりだろう。
今こそ、政府は地方創生の本質を問い直すべきだ。単なる補助金やイベントの開催に留まらず、地方が自立できるような経済構造の構築こそが重要である。そのためには、地方税源の充実や、地方交付税の抜本的な見直しが必要不可欠だ。
そして、何よりも重要なのは、人材育成への投資である。地方公務員の専門性を高め、長期的な視点で地方財政を支える人材を育成することこそが、真の地方創生に繋がるはずだ。
総務省の非常勤職員募集は、地方創生の現状を映し出す鏡である。この歪んだ現状を直視し、抜本的な改革を行うことこそが、政府に課せられた使命である。
総務省が地方債課で働く非常勤職員を募集！ 地方を支えるお仕事にチャレンジしませんか？,総務省
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