朽ちゆく箱物行政からの脱却を ― 枕崎市新庁舎建設、市民参加型プロセスこそ未来への礎
枕崎市が新庁舎建設における工事参加者を募るという。一見、地方都市のありふれた公共事業のニュースに過ぎない。しかし、私たちはこの小さな動きの中に、閉塞感漂う地方行政に風穴を開ける可能性を見出す。
長年、地方都市は人口減少、高齢化、産業の衰退という三重苦に喘ぎ、その活路を見出せないでいる。その一方で、時代錯誤な箱物行政が繰り返され、市民のニーズとの乖離が深刻化している現実を直視しなければならない。
今回の新庁舎建設は、まさにその分岐点に立っていると言えるだろう。旧態依然とした入札制度、談合体質、そして市民不在の計画決定。これまでの公共事業が陥ってきた負の連鎖を断ち切らなければ、新たな庁舎もまた、負の遺産となりかねない。
重要なのは、市民一人ひとりが主体的に関与できるプロセスを確立することだ。ワークショップの開催、デザインコンペの実施、情報公開の徹底。あらゆる手段を講じ、市民の意見を積極的に取り入れるべきだ。
さらに、建設プロセスそのものをオープンソース化することも検討に値する。設計図、見積もり、進捗状況。全てを市民に公開することで、透明性を確保し、不正を未然に防ぐことができる。
そして、新庁舎は単なる行政機関のオフィスであってはならない。市民が集い、交流し、創造性を刺激する場として機能すべきだ。図書館、コワーキングスペース、コミュニティキッチン。多様な機能を複合的に取り入れ、市民の生活を豊かにする拠点となることを目指すべきだ。
今回の新庁舎建設は、枕崎市だけでなく、全国の地方都市にとって試金石となる。成功すれば、市民参加型行政の新たなモデルとなり、地方創生の起爆剤となるだろう。失敗すれば、旧態依然とした箱物行政の延命を許し、地方都市の衰退を加速させることになるだろう。
私たちは、枕崎市が勇気を持って一歩を踏み出すことを期待する。市民の声に耳を傾け、透明性の高いプロセスを確立し、創造性豊かな新庁舎を建設すること。それこそが、未来への投資であり、真の地方創生につながると信じる。
今こそ、朽ちゆく箱物行政からの脱却を。市民参加型プロセスこそ、未来への礎となる。
枕崎市からのお知らせ：新しい工事の参加者を募集します！（2025年5月23日）,枕崎市
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