青い海の未来へ、持続可能な漁業への羅針盤を
2025年5月21日、ワールド・トレード・オーガニゼーション（WTO）漁業基金が新たな一歩を踏み出した。資源枯渇が深刻化する世界の海を守るため、途上国における持続可能な漁業への移行を支援するという。これは、地球規模の課題解決に向けた重要な前進であり、私たち一人ひとりが深く認識し、行動を促されるべき喫緊の課題である。
長年、私たちは目の前の利益を優先し、過剰な漁獲や破壊的な漁法を放置してきた。その結果、多くの魚種が絶滅の危機に瀕し、海洋生態系は深刻なダメージを受けている。このままでは、将来世代に豊かな海の恵みを引き継ぐことはできない。
WTO漁業基金の設立は、こうした状況を打破するための希望の光だ。しかし、基金の成功は、資金援助だけでは決して実現しない。重要なのは、支援を受ける国々が、自国の漁業の実態を正確に把握し、科学的な根拠に基づいた資源管理計画を策定することだ。そして、漁業者自身が主体的に持続可能な漁業に取り組む意識改革こそが不可欠である。
日本は、世界有数の漁業国として、この問題に真摯に向き合う責任がある。長年培ってきた漁業の知識や技術を途上国と共有し、持続可能な漁業への移行を積極的に支援すべきだ。また、国内においては、資源管理の徹底、違法漁業の取り締まり強化、そして消費者の意識改革を推し進める必要がある。
私たちは、魚を「獲る」だけでなく「育む」という視点を持つべきだ。養殖技術の開発や、海洋環境の保全活動への参加など、できることはたくさんある。消費者は、MSC認証などの持続可能性を示すラベルを目印に、環境に配慮した水産物を選ぶように心がけるべきだ。
青い海は、私たち人類共通の財産だ。その恵みを享受し続けるためには、今こそ、持続可能な漁業への転換を加速させる必要がある。WTO漁業基金の活動を注視し、私たち一人ひとりができることを実践することで、未来の世代に豊かな海を引き継いでいこう。
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