保護主義の台頭に抗い、多角的貿易体制の維持・強化を
ナイジェリア出身のヌゴジ・オコンジョ＝イウェアラWTO事務局長がクロアチアを訪問し、プレンコビッチ首相と会談した。このニュースは、多角的貿易体制の維持・強化に向けたWTOの地道な努力を改めて想起させるとともに、世界経済が直面する課題を浮き彫りにする。
近年、地政学的リスクの増大やサプライチェーンの寸断などを背景に、各国で保護主義的な政策が台頭している。米国における「インフレ削減法」に見られるように、自国産業の保護を目的とした補助金政策は、自由で公正な貿易を歪める恐れがある。また、米中対立の激化は、世界経済の分断を招き、多角的貿易体制の根幹を揺るがしかねない。
このような状況下で、WTOの役割はますます重要になっている。オコンジョ＝イウェアラ事務局長は、紛争解決機能の回復や漁業補助金協定の発効など、WTO改革を主導してきた。しかし、加盟国間の意見の隔たりは大きく、改革は道半ばである。
日本は、自由貿易の恩恵を最大限に享受してきた国として、多角的貿易体制の維持・強化に積極的に貢献すべきである。具体的には、
- WTO改革への貢献: 紛争解決機能の回復や新たな貿易課題への対応など、WTO改革に向けた議論を主導し、合意形成を促進する。
- 保護主義的な政策への牽制: 各国の保護主義的な政策に対し、WTOルールに基づき、是正を求める。
- EPA/FTAの推進: 多角的貿易体制を補完する形で、質の高いEPA/FTAを推進し、貿易・投資の自由化を促進する。
- 開発途上国への支援: 開発途上国の貿易能力向上を支援し、多角的貿易体制への参加を促進する。
多角的貿易体制は、世界経済の成長と繁栄に不可欠な基盤である。日本は、自由貿易の旗手として、保護主義の台頭に抗い、多角的貿易体制の維持・強化に積極的に貢献していくべきである。それこそが、日本経済の持続的な成長を支え、世界経済の安定に貢献することにつながる。
ナイジェリア出身のWTO事務局長、クロアチア首相を歓迎！その背景と意味,WTO
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