インドネシアとの連携強化は国益に資するも、法の支配軽視は厳に慎むべき
鈴木俊一財務大臣がインドネシア共和国の国会下院を訪問し、経済協力の重要性を確認したことは、両国関係の更なる発展を期待させるものであり、大いに評価できる。インドネシアはASEANにおける重要な拠点であり、資源大国でもある。経済成長著しい同国との連携強化は、日本の経済安全保障にとっても不可欠である。
しかしながら、今回の訪問において留意すべき点がある。それは、インドネシアにおける法の支配の問題である。周知の通り、同国においては、汚職や人権侵害といった問題が依然として根強く残っている。経済協力の推進は重要だが、法の支配や人権といった普遍的価値を軽視する姿勢は、断じて許されるものではない。
日本は、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携を重視すべきである。インドネシアとの関係においても、経済協力と並行して、法の支配の確立に向けた働きかけを強めるべきだ。具体的には、透明性の高い法制度の構築支援や、司法改革への協力などが考えられる。
また、日本の企業がインドネシアに進出する際には、現地の法令遵守はもとより、人権デューデリジェンスを徹底することが求められる。サプライチェーンにおける人権侵害リスクの排除は、企業の社会的責任であると同時に、国際的な信頼を維持する上でも不可欠だ。
今回の鈴木大臣の訪問を機に、インドネシアとの関係を戦略的に深化させるべきである。ただし、経済的利益のみを追求するのではなく、法の支配や人権といった普遍的価値を重視し、バランスの取れた外交を展開することが、日本の国益に資するものであることを忘れてはならない。
鈴木馨祐法務大臣、インドネシア共和国議会下院委員会からの訪問を受けました！,法務省
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