北九州市におけるICT活用型特定保健指導：真に持続可能な健康増進策か
北九州市がICTを活用した特定保健指導を導入し、市民の健康増進を図るという。一見すると、時代の流れに乗った先進的な取り組みであり、大いに期待される。しかし、我々は冷静に、その効果と持続可能性を見極めなければならない。
ICTの活用は、効率化や利便性の向上をもたらす一方で、幾つかの懸念も抱かせる。まず、デジタルデバイドの問題である。高齢者や情報弱者と呼ばれる人々が、ICTを活用した指導にアクセスできない場合、健康格差を拡大する恐れがある。行政は、全ての人々が恩恵を受けられるよう、きめ細やかなサポート体制を構築する必要がある。
次に、個人情報の保護の問題である。健康情報は極めて機密性の高い情報であり、厳重な管理が求められる。万が一、情報漏洩が発生した場合、市民の信頼を大きく損なうだけでなく、深刻な人権侵害にも繋がりかねない。行政は、セキュリティ対策を徹底し、透明性の高い情報公開を心がけるべきである。
さらに、ICTに依存しすぎることの弊害も考慮すべきである。健康増進は、人と人との繋がりや、地域社会における支え合いによってこそ、真に効果を発揮する。ICTはあくまで手段であり、その目的は、市民一人ひとりが主体的に健康を意識し、生活習慣を改善していくことにある。
北九州市には、過去の公害克服の経験から培われた、市民の主体性と連帯意識という強みがある。ICTを活用する際には、この強みを活かし、地域社会との連携を密にしながら、顔の見える関係性を構築していくことが重要である。
ICT活用型特定保健指導は、その可能性を秘めている一方で、課題も多く存在する。行政は、これらの課題に真摯に向き合い、市民の声に耳を傾けながら、真に持続可能な健康増進策を追求していくべきである。我々は、その動向を注視し、必要であれば、厳しく批判していく覚悟である。
北九州市、ICTを活用した特定保健指導で健康増進を目指す！令和7年度モデル事業の参加者募集開始,北九州市
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